クビ切られるのをクビ長くして待つ、荒れる中国の経営現場

 先週金曜日は上海事務所での相談日。相談に来社された数社の在中日系企業は、ほとんど同じ問題を抱えている――。

 数年前までは利益も出ていて経営状態が良かったので、拠点増設や拡張、増員だけでなく、昇給も年々積み上げてきた。ここ2~3年、特に直近になって状況が一変した。受注の低迷でなかに連続単年度赤字を出し続けている会社もいる。

 ここまでくると、人員削減や減給に踏み切るしかない。だが、いざというときに、それができない。中国の労働法で賃金制度ががちがち硬直化していたことに気付く。

 経営状況の悪化は従業員にも分かる。すると、従業員がますます辞めなくなる。会社の清算や閉鎖となれば、経済補償金がもらえるからだ。いま辞めたら損!会社が潰れ(閉鎖・撤退)、自分たちのクビを切られるのを、クビを長くして待っているのである。

 そうした日系企業の前任や前々任総経理は何をやっていたんだと、不満に思う新任総経理の気持ちはよくわかる。

 「居安思危、思則有備、有備無患」という中国の古典がある。安きにありて危うきを思う、思えばすなわち備えあり、備えあれば憂いなし。経営の有事に備えた予防策や日々の取り組み、これを怠っているのは一部日本企業の中国現法だけではない。最近のシャープなどを見ていると、まさに悪しき事例の代表格そのものである。

 日本企業の戦略なき近視眼的な経営はもはや、限界に近付いてきたのではないだろうか。

タグ:

コメント: クビ切られるのをクビ長くして待つ、荒れる中国の経営現場

  1. キリンのように長い首になっていることでしょうね。

    もっとも、今となっては30~50万元もらったところで、マンション一つ買うのも難しいし、再就職も難しいとなれば、日本人ならそんなに楽観もしていられないでしょうけど、中国人は小さなお店で一勝負という人が多いのでしょうね。

    1.  使い道は個人の自由でしょうが、生活の糧で困っていない人、小さな店をやらなくても生きていける人も、首を長くして待っていますからね。30~50万元どころか、3~5万元増えて困る人はいません。

Comments are closed.