存続が最大の見返り、良い店儲けさせるのが客の仕事

 上海出張中に、「旬林」で食事をしようと電話したら、「すみません、もういっぱいです」と断られる。カウンターの片隅、1席だけでも空いていないかと念を押しても、完全満席だった。

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 やっとのこと、最終日に席が取れた。この不況の時代、上海の日本料理店も次から次へと撤退するなか、よくもここまで繁盛している。しかも一切広告を打たない主義である。以前の記事にも少し触れたことがあったが、フリーペーパー広告を嫌う店主の林氏が理由をこう説明する。

 「広告料が高いし、それに見合った客層の来店がほとんどない。そのことをいうと、格安キャンペーンをやりなさいと薦められる。それじゃ常連客が来なくなってしまう・・・」

 量と質の問題である。一過性の来店客数優先か、客層絞込み優先かの選択肢である。「旬林」の経営理念も戦略も非常に明快だ。来店客で気に入った場合、携帯番号を店主に告げる。そこで旬の入荷情報を毎週ショットメッセージで送られてくる。キャンペーン情報は一切ない。

 連日満席なのだから、キャンペーンをやる必要もない。いやまったくやらないわけではない。年1度の常連客イベントや開店○周年程度のもので、もちろんこれも広告を打たない。

 新規客開拓はもっぱらの口コミ。あと、こうして書いたブログー記事も知らないうちに「無料広告塔」になっている。私の前回のブログ記事を見て来店し、見事にファンとなり常連となった客もいるようだ。それはそれは素晴らしい。私は「広告料」やサービスを求めないし、店からも提供されない。

 好きな店はいつまでも存続し、繁盛し、儲かり、そしてさらに良くなること、それが最大の見返り。そして、店舗を増やさないことを祈るだけ・・・。

<続編>