「世界一大きい」「世界一高い」「世界一豪華」・・・。ドバイは「世界一」コンセプトで作られた街だ。多くの人間は一度だけでもいいから、「世界一」を自分の目で見ておきたい、自分の体で体験してみたいという心理をもっている。
ブルジュ・ハリファと記念写真
そこで「世界一」が「一度だけ」の消費動機をうまく引き起こすわけだ。「一度だけ」なら若干高くてもいいやと人はそう思う。普段倹約していても、人生一度だけの体験を買うとなれば、金に糸目を付けないという非経済的消費行動が起きるのである。
砂漠の中に聳え立つブルジュ・ハリファ(シャングリラ・ホテルの客室から撮影)
さらに人生一度だけの体験を買うために、倹約して旅行代金を捻出する人もなかにたくさんいるのではないだろうか。5000円のコーヒーも1万円の朝食も、もはや市場価格で計測・評価できる範疇を超越している。人間の体験買いには相場がなく、プライスレスなのである。
展望台入場待ちの行列
ブルジュ・ハリファだけは登ってみた。世界一高いビル(全高828メートル、軒高636メートル)としてその下段展望台(124階)に登るために、事前にウェブで前売券を購入すれば、通常時間帯が125ディルハム(約4000円)、夕刻サンセットのプレミアム時間帯は200ディルハム(約6400円)という値段設定である。
124階展望台からの眺望
しかし、当日券はなんと300ディルハム(約9600円)もかかるのだ。このシステムを知らずに現地に行った人たちは、入場料のあまりの高額さに驚きつつもそこで引くかと言うと、世界一高いビルと目をキラキラさせて期待する奥さんや子供たちを目の前にして、さあ、お父さんどうしますか。
展望台から俯瞰するドバイ・ファウンテン
「世界一・人生一度」商法はある意味で、ドバイの観光経済を支える支柱になっている。人生一度だけの体験として、世界一高いビルの展望台に登るために、あるいは世界一豪華な7つ星ホテルで朝食を取るために、消費者たちは1人あたり1万円を喜んで払っている。ドバイはそういう世界である。
ブルジュ・ハリファから眺めるドバイのサンセット
人生一度だから、体験済みの消費者は二度と来ない。それは一向に構わない。人生一度の体験を買いたい人は世の中、いくらでもいるのだ。ドバイはリピーターよりも、ビギナーを求めているのである。
ドバイ。Dubaiは、「Do Buy」の街である。
ははは、失礼しました(笑
ものすごく面白いと思いました(笑
リピーターがいないのが前提だからタコの入っていないたこ焼きを売る縁日のテキ屋ビジネスですね。
私はやっぱり同じ店に通い続け、黙っていても好みのものを出してくれる、オヤジの誕生日にはお祝いを持参する関係の方が好きです〜。
いや、たこ焼きにはちゃんとタコが入ってますよ。