アラブの旅(19)~A級B級対決、ペルシャ料理食べ比べ

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 中東料理といっても、いろいろある。その中の1つは、ペルシャ料理(イラン料理)。それが予想よりもはるかに味付けは薄めであっさりしている。香草と香辛料の風味もまた素晴らしい。面白い実験を敢行した――A級B級の食べ比べ。

バーレーン、ペルシャ料理店「Isfahani Restaurant」

 まず、B級からということで、足を運んだのはバーレーン市内の「Isfahani Restaurant」。路面店であるごく普通のレストランだが、なぜか客があまりいない。まあ、それはどうでもいい。食べることに専念したい。早速、羊肉(ラム)のケバブを注文。

 ケバブといっても、イランでは「キャバーブ」、インドやパキスタンでは「カバーブ」、キルギスでは「ケベプ」、ウイグルでは「カワープ」と、それぞれ微妙な違いを抱えている。食べ比べなら、ケバブほど都合のよいベンチマークはない。同じペルシャ料理も然り。

「Isfahani Restaurant」の羊肉(ラム)ケバブ

 素晴らしい出来だ。肉質も焼き加減も味も申し分ない。ご飯が進む。中東はビリヤニを代表格とする米系の食文化であるため、パン食が苦手な私には馴染みやすい。

 ご飯の盛り方も面白い。A級系高級レストランでは、料理とご飯が別々にサーブされることが多い。上品にご飯を別皿で持って来て、取り分けるわけだが、それはご親切にご飯が冷めてしまうのだ。このレベルのB級レストランでは、料理とご飯を1つの皿に盛る「丼ぶり」式なので、料理とご飯が寄り添って保温効果を保ってくれるのが嬉しい。

 次に、A級ペルシャ料理で出向いたのは、オマーンの首都マスカットの高級ホテル「クラウンプラザ」の中にある「Shiraz Restaurant」。オマーン湾に面したテラスで優雅にペルシャ料理をいただく、という高級店である。

マスカットの高級ペルシャ料理「Shiraz Restaurant」

 同じくケバブ、今度はミックスを注文。味は?うん、悪くない。美味しい。でもなぜか先日の「Isfahani」を思い出す。料理の値段は倍以上違うが、味も倍に美味しいかという質問はナンセンスにしても、それだけの差はあるのだろうか。

「Shiraz Restaurant」のケバブ盛り合わせ

 案の定、ご飯は別皿。少なくともケバブが冷めないように、親切に保温付きの鉄板に盛ってくれるのがありがたい。ただ保温はされたものの、継続加熱のせいでケバブの炭火焼による「焦げ風味」が飛んでしまうのである。

 A級B級に甲乙を付けるつもりはない。個人個人の嗜好や価値観、あるいは場面や気分によって使い分ければいいのだが、私のなかには、やはりB級だったかな・・・。

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