ベトナムの次はどこ?市場の移動型寿命サイクル

 「立花さん、いつのまにかベトナムを持ち上げるようになりましたね」

 最近、時々そう言われる。その通りだ。ベトナムを持ち上げている。ただ、時限付きだと何回も繰り返している。ベトナム市場の寿命はせいぜい15年。2030年あたり、次の移動になるだろう。

 人件費アップをはじめとする市場の成熟。それはどこの国も同じ。私が90年代前半中国駐在したときに、「えっ、中国か」という人がほとんどだった。あれ以来ちょうど20年、1つのサイクルだ。ベトナムは中国市場より規模が小さいので、もう少し早いと思う。だから15年くらいではないかと。

 ステージ1 導入期~先行投資・トップシェア狙う。コスト優位性。
 ステージ2 成長期~参入最終チャンス→認知度向上・参入企業増・利益出始める。コスト優位性の減退。
 ステージ3 成熟期~競争激化・価格下落・非価格競争、ニッチ差別化。コスト増が目立つ。
 ステージ4 衰退期~撤退・高度ニッチ化。コスト増で経営苦に陥る。

 その市場全体の移動型(地政学的な移動を伴う)寿命サイクルから、自社事業の位置付けを割り出す作業が重要だ。たとえステージ4の衰退期でも、高度ニッチ化したビジネスならちゃんとサバイバルできるし、利益を出し続けることも可能だろう。

 ただ大半の日本企業は市場サイクル連動型事業だから、そこで短期や中期決勝戦になる。つまり、15年から20年の事業期間、3つか4つの5ヵ年経営計画でどーんと利益を出して「稼ぎ逃げ」する。それがだらだらと、固定費の消耗戦だけでは経営が疲弊化する。ベトナムも然り。あと15年、どんどん利益を出さなければ・・・。

 ベトナムの次は?アジアはもうゲームオーバーかな。次なる有望な市場は?私は、イランだと思っている。中東の中国~ペルシア市場。

リング:『ベトナムの次はイランだ、フロンティアは西にあり』

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