パースの夏(8)~Wagyuと赤身、そして焼肉の話

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 和牛は、今や世界の「Wagyu」。その一角を占める、いや一角よりももはや中核的な存在として知られているのは、オーストラリア産和牛。日本以外の海外市場では昨今、豪州産和牛がほぼ独占しているといっても過言ではないだろう。

パースで食す焼肉用豪州産和牛

 サシの多い霜降り系和牛よりも赤身を好む私でも、オーストラリアにやってきた以上、一度くらいは「Wagyu」を食べてみたい。今回はパースにある韓国系焼肉店で、「Wagyu」をいただいた。霜降りの度合いは本場和牛に比べてやや劣っているものの、肉や脂肪の色沢や肉の締まりでは、日本産と比べても遜色ないほど良質なものであった(ただし、焼肉用レベルでの比較)。

パース・韓国焼肉店「アリラン」にて

 特に最近増えてきた中国産和牛「雪龍黒牛」と比較すると、私個人的には、豪州産のほうが断然上だと認識している。霜降り度の話に戻るが、本場日本産よりも霜降り度が低く、赤身的な風味が強い豪州産和牛はむしろ、赤身派の私に合っている。

パース・韓国焼肉店「アリラン」の赤身系

 そもそも霜降り度の高い本場ものは、コース料理のなかで50~60グラム程度の少量使用が本筋であり、大き目のステーキには向いていない。200グラムや300グラムのステーキが当たり前の欧米では、むしろ豪州産や米国産アンガス牛の赤身が適している。繰り返しになるが、私個人的には、加齢のせいもあってか、最近ますます赤身志向が強くなった。

パース・韓国焼肉店「Namoo」の肉盛り合わせ

 パースの焼肉店ではなぜか、ユッケやホルモン系のメニューがない。生食が現地の法令で規制されているのかもしれないが、火を通すホルモン系はなぜないのか、不思議だ。

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