パースの夏(7)~幸せなクオッカと孤立主義のトランプ

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 「ピカチュウ」のモデルとしても有名な動物クオッカ。ロットネスト島で天敵もなく、過酷な生存競争ゲームとは無縁であるかのように生き延びている。それ故に、「世界一幸せな動物」と呼ばれている。その理由は何だったのであろうか。

ロットネスト島・ケープブラミン

 動植物の楽園と言われ、1978年にユネスコの世界自然遺産の第1号として登録されたガラパゴス諸島には、進化論執筆のきっかけとなった独自の進化を遂げた生態系が育まれている。分断された孤島では、周辺の生態系から隔離された状態が成就する。そこで滅亡するはずだった動植物が生き残る。

 このメカニズムをロットネスト島に当てはめるには乱暴すぎるかもしれないが、どこか類似点を見出せないものだろうか。7000年前に海面が上昇した際、ロットネストが西オーストラリア大陸から切り離され、孤島になったのであった。

ロットネスト島・ケープブラミン

 昨今、「ガラパゴス化」は、生物学の用語にとどまらず、日本で生まれた経済・ビジネス用語として広く使われている。孤立した環境でその特定の環境に適合する「最適化」が著しく進行すると、エリア外との互換性を失い孤立して取り残されるだけでなく、外部から適応性(汎用性)と生存能力(低価格)の高い種(製品・技術)が導入されると最終的に淘汰される危険に陥るという、進化論におけるガラパゴス諸島の生態系になぞらえた警句である。

 それ故に、「ガラパゴス化」は少なくとも日本では、「善」として語られることはなかろう。そもそも、これもグローバル化を前提に打ち出された概念であるから、その前提に変更が生じれば、結論に対する修正も余儀なくされることであろう。いわば意図的なガラパゴス化によって、生存競争を弱化させ、独自の種としての生き残りを実現させる手法である。

ロットネスト島にて

 さらに言ってしまえば、保護主義や孤立主義はまさに意図的なガラパゴス化と言えなくもない。その根底にあるキーワードは、「分断」である。融和や共存ができないときに、対立や闘争、淘汰が生まれ、ときには共食いや共倒れにもつながる。その場合、「分断」や「棲み分け」が次善の策として浮上する。

 ロットネスト島で可愛いクオッカたちを眺めていると、なぜか可愛さに無縁なトランプ米大統領を連想してしまう。彼の保護主義・孤立主義から、「ガラパゴス化」や「ロットネスト化」、そして幸せなクオッカたちが生み出されるのだろうか。

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