南部アフリカ紀行(25)~優雅なひと時、リビングストン・ルームで夕食

<前回>

 5月14日(月)、南部アフリカ旅行の最終日。夕食は落ち着いたレストランで少々優雅に取りたいので、ビクトリアフォールズ・ホテル内の「リビングストン・ルーム(The Livingstone Room)」に予約を入れた。

 夕方早めに到着したのは、ホテルの見学と食前酒を楽しむためだ。

 ビクトリアフォールズ・ホテルは、英国植民地時代である1900年代初期、セシル・ローズがケープタウンとカイロを鉄道(Cape-to-Cairo Railway)で結ぼうとした有名な試みの時代に建築された名門ホテル。シンガポールのラッフルズ、あるいは香港のペニンシュラを想起すれば、イメージが湧きやすいだろう。

 ホテルのガーデンは素晴らしい。蓮池や樹齢1世紀の木々に囲まれており、何よりも真正面からビクトリアフォールズ橋、ザンベジ川峡谷と滝の飛沫を一望できる。夕陽を浴びる橋を背景にすれば、絶好の写真撮影スポットになる。美しい景色を眺めながら、ホテルのテラスで頂く一杯のモヒートはまた格別の味がする。

 そろそろ夕食の時間になるので、メインダイニングの「リビングストン・ルーム」へ移動。

 エドワード朝風で格式ある、エレガントなレストランである。少し前までは、ジャケットとネクタイのドレスコードが求められていたが、さすがにアフリカのサファリだけにこの1食のためにスーツケースに余分な1着を入れるには抵抗を感じる客も多かっただろう。現在は男性は長ズボン、クローズシューズと袖・襟付きシャツという「スマートカジュアル」で合格とされている。

 サービスも素晴らしい。ウェイターは当日のメニューについて、素材や産地を含めてすべて暗記できているようだ。本日のメインは、ジンバブエ産のプレミアムビーフ。さすがにこれまで食べてきたゲームミートよりは柔らかくなっている。私には少々パワー不足だが、エレガントなレストランに釣り合う上品さなら十分すぎるくらいだ。

 いや、美味しかった。ご馳走様でした。

<次回>