富士山コカ・コーラとフィリピン人メイドの話

 自宅のフィリピン人メイドに、日本のお土産で「富士山コカ・コーラ」を2本セットで買って来たら、大喜び。

 沼津の食い倒れツアー、食事所に「コカ・コーラ地域限定ボトル」が販売されていたので、ついつい買ってしまう。コカ・コーラといえば、地球サイズのスタンダードだ。それに日本ブランドを付与すれば、どんな国の人にも受け入れられる。マーケティングとしては良いアプローチだ。

 うちのフィリピン人メイドは、大のコーラ好き。大サイズのペットボトルを1ダース単位で買ってきてもすぐに消える。南国での力仕事、冷たいコーラほどスカッと心地よいものはない。

 それはよく理解できる。ただ健康上、飲み過ぎは良くないと妻が説教し続けてきた。ついに効果が現れた。ここ1年、コーラを飲まなくなった。お茶を飲むようになった。これでコーラを買ってあげるとは何事だ。せっかく忘れ去られた嗜好を蘇らせるほど馬鹿な真似はやめようよと、妻が反対。

 いいから、責任を私が取ると、妻の反対を押し切って遥々と日本から買ってきた「富士山コカ・コーラ」にメイドはどう反応するか――。

 「このコーラ、飲まない。来年末の定例帰国休暇にフィリピンの田舎に持ち帰って、親に飲ませたい。日本からやってきたコーラなのだ」。予想もしないメイドの反応、私も妻も感動を覚えずにいられない。さすがに賞味期限が持たないので、まず飲みなさい。来年はまた日本から買ってきますよと。

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