話題の本「日本国紀」、読後ならぬ未読感想

 予想通り、一大センセーション巻き起こす「日本国紀」は早速も賛否両論に分かれた。

 私はこの本、買っていない。買うつもりもない。あまりにもあまりにも、膨大な内容を一冊に納めても、私自身の消化能力がとても及ばないからだ。

 百田氏は非常に有能な方で、良いものを書いてくれるだろうとは思ったが、ただこれだけの歴史を一冊にまとめるとは、物理的に無理があるのではないかと。これは私の杞人天憂だろうか。

 ローマ史あるいは地中海史、イタリア史と言った分野を挙げると、塩野七生氏は数十冊の著作で描いた。たとえば、「レパントの海戦」。戦争自体は1日で終わったのだが、塩野氏が1冊の紙幅を使ったのだった。

 私のような消化不良恐怖者には、最適な書物だ。歴史のなかに溶け込めるような臨場感を与えてくれたのは、塩野氏だった。

 「日本国紀」のように、「イタリア国紀」がもしあったとすれば、私もきっと買わなかっただろう。

 「この1冊読めば、すべて分かる」。いささかこういう風潮があっての企画・出版だったのかどうか、私には分からない。ただ自分に限って言えば、そこまでの器用さを持ち合わせていないので、総括まとめ的な書物は基本的に買わない、読まないのである。

 個人的には、「ベストセラー」たるものにも総じて懐疑的であって、出版業界の商業的戦略ではないかと性悪説的に捉えがちである。これもひとえに自分の中の暗黒面だったとは認識している。

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