ペナンのワンタン麺よ永遠なれ!

<前回>

 ペナンのワンタン麺が面白い。前回にも書いたが(参照:ペナン食い倒れ日記(14)~ワンタン麺、マレーシア式 vs 香港式)、マレーシア式のワンタン麺(ワンタン・ミー)と香港式とが違う。マレーシア式の場合、雲呑(ワンタン)と麺が別々の器に盛られ、スープは香港式の澄まし系でなく、やや濃厚な甘口醤油系で量も少なめになっている。スープよりもソースあるいはつゆに近い。

ペナンの広式ワンタン麺

 一方、よく見ていると、ペナンにも香港式のワンタン麺を売っている店がある。看板には「香港式」ではなく、「広式」つまり「広東式」と書かれている。基本的にルーツは一緒だが。

 早速食べてみると、基本的な「枠組み」は確かに香港式ではあるが、微妙に違っている。まず香港式ワンタン麺のワンタンはエビであるのに対して、こちらの「広式」は豚肉なのだ。プリプリしたエビの豪華さと比べると、豚肉の遜色は否めない。しかし、その地味な豚肉はいかにもペナンの素朴さを代弁しているかのようなところが好きだ。

 味は一流、出汁もしっかりしている。値段は香港の5分の1から4分の1。さらにワンタン麺ではなくてただのワンタンも食べてみる。これも同じ、豚肉になっている。ペナンでは「ワンタン」と「水餃子」の差があまり感じられない。

ペナンのワンタン

 最近、香港にいくと、ワンタン麺もやたらに50香港ドルや60香港ドルと馬鹿高い。もう庶民の食べ物ではなくなっている。だが、ここペナンではワンタン麺はまだまだ庶民の味覚として健在している。なんと頼もしいことか。ペナンのワンタン麺よ永遠なれ!

<次回>