ペナン食い倒れ日記(14)~ワンタン麺、マレーシア式 vs 香港式

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 第7ラウンドの後半戦は、「漢記」から2軒先の「新路茶餐室」(Kedai Kipi Malabar)へと場を移す。

 ここでは、マレーシア式のワンタン麺(ワンタン・ミー)を食べる。マレーシア式というのは、香港式と区分するためだ。マレーシア式のワンタン麺の最大の特徴は、別盛。雲呑(ワンタン)と麺が別々の器に盛られ、スープは香港式の澄まし系でなく、やや濃厚な甘口醤油系で量も少なめになっている。スープよりもソースあるいはつゆに近い。

 故に、香港式ワンタン麺はスープ麺であるのに対して、マレーシア式はほぼつけ麺に近く、麺はオイスターソースで下ごしらえされているところも特徴的だ。

マレーシア式ワンタン麺(ワンタン・ミー)

 こうしてみると、マレーシア式の場合、メインはやはり雲呑でなく、麺だ。正直あの雲呑は香港式の雲呑に比べると、貧弱と言わざるを得ない。ただ麺も具材(チャーシューや野菜)もゴージャス。という延長線上にはもしや、雲呑も1具材として位置づけられているのかもしれない。

 香港のワンタン麺はまず、雲呑がゴージャス。その中身はぷりぷりしたエビの身と豚挽き肉がこれでもかと詰め込まれている。そして澄ましスープもゴージャス。ヒラメの乾物などからしっかり出汁を取っているので、スープだけでも立派な1品になる。

 いや、スープは1品だ。そういうのは、具材の材質の相違からすべて別々に調理されているからだ。まずは雲呑。雲呑が出来上がると、どんぶりに移され、次に麺の調理に入る。生麺をさっと高温で茹で冷水でしめたところ、どんぶりの雲呑に合流させられる。そして、熱いスープを麺の上から注ぎ入れる。

香港式ワンタン麺(2015年7月15日、香港で撮影)

 このような調理法を取っているから、スープの味は過度の自己主張せず、雲呑と麺の味を邪魔しない。つまりスープと雲呑と麺が形上一体化されながらも、味は見事に棲み分けして立体感を出しているわけだ。香港式ワンタン麺の技術度も芸術度もかなり高い。スープも「上湯」(ショントン)と呼ばれているだけに完成度とバリューの高さを誇示する。

 縷々と述べてきたが、香港式とマレーシア式のワンタン麺に甲乙を付けるつもりはない。それぞれ素晴らしい。

 最後にお値段。香港ではワンタン麺1杯で小奇麗なレストランなら30~40香港ドル(約500円前後)はするだろう。マレーシアの茶餐室ではマレーシア式ワンタン麺1杯の場合、5~6リンギット(約150円前後)で済む。ワンタン麺は庶民食の代表格とはいうが、われわれマレーシアの住民から見れば、香港のワンタン麺はすでに「貴族食」になっているのだ。

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