ペナン食い倒れ日記(13)~以形補形、極旨の豚脳みそ粥を食す

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 第7ラウンド前半戦。Lorong Kampung Malabar(日本新路)の45番地、目指すは茶餐室の「漢記小食店」(Hon Kei Food Corner)。9時の開店と同時に本日初めての客として入店。

 なんといっても、私はこれが食べたい――。豚脳みそのお粥。またゲテモノ扱いされそうだが、動物の脳は食用として供される、いわゆる脳みそ料理は世界各地でよくみられ、何も珍しくないのだ。白子に似たフワフワした食感と、濃厚な旨味があってまさにに美食中の美食である。以前北京出張中に必ず通う脳みそ火鍋のお店もあったくらいの脳みそ大ファンなのだ。

 中医学には「以形補形」という概念がある。民間で俗に言う「吃○補○」(動物の○器官を食べれば、人間の○器官を療養する)はまさにそのことだ。動物の臓器は「血肉有情之品」(血と肉で形成された情をもつ品)として、草本薬物よりも人体に吸収されやすいとされている。では、豚の脳みそを食して、自分の脳機能の改善につながるだろうと、そう妄想している。

 まあ、要するにいろんな根拠を見つけては結局のところ旨いものを食べたい、それだけの話なのだ。早速注文。お粥の具材を自由に選び、何種類でも組み合わせることができる。私は豚の脳みそ、腎臓、ガツ(豚の胃)とミンチポーク(豚の挽き肉)を選ぶ。その豊穣な味わいを感知した我が脳は、ひっきりなしに大満足のサインを発し、早速も効用が現れたのだった。

 初心者で脳みそをはじめ豚の臓器類が苦手な人には、単なるミンチポークのお粥でも十分に美味しいので、お勧め。もちろん、魚麺やフィッシュヘッド麺も店の看板料理であるだけに、失望させない。

 ご馳走様でした。お粥を食べて満腹にならないうちに、早速後半戦に向かう。はしご飯だ。

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