<ハノイ>ローカル「焼鳥横丁」、ベトナム式炭火焼はうまい!

 ベトナム式の焼鳥を食べたくて、ハノイの「焼鳥横丁」Lý Văn Phúcへ足を運ぶ。

 煙がモクモクの横丁である。焼鳥屋は何店舗もある。「店」といっても、屋台より少しマシな簡易食堂である。どれも完全なローカル店だが、そのなかに日本のガイドブックにも載っている「名店」がある――「Binh Minh(ビンミン)」。本来なら他店で食べるが、日本人客のウォッチングで今回は迷わず「Binh Minh」

 日本語は通じないが、看板やメニューには日本語が併記されている。メニューの種類が少なく、シンプルな構成になっている。

 私は種類豊富なメニューよりも、シンプルな方が好きだ。あれこれ食材を仕入れると、無駄が生じやすいし、コストが膨らむ。良い食べ物屋さんにはやはり儲かってもらわないと、長続きしないので、客も損する。

 もも肉は大きい。丸ごと1個のもも、炭火焼のいい香りがたまらない。ビールもいいが、私にはやはりベトナム焼酎「Nep Moi(もち米焼酎ネップモイ)」が合う。この類の店なら、酒の持ち込みはほぼ自由。ベトナムのこういうところは素晴らしい。焼鳥と焼酎で旅や仕事の疲れが一気に吹き飛ぶ。

 メニューの種類が少ないと、欲張らないし、ゆっくり食べられる。現代社会はどこへ行っても、選択肢がありすぎ。選ぶのに時間も労力もかかる。

 案の定、客の8割以上が日本人。駐在員と出張者のグループは、何回も鶏肉のお代わりをしながら盛り上がっている。日本人サラリーマンと焼鳥屋の相性は良い。なぜか傍から眺めているだけで微笑ましくて幸せになってしまう。ベトナムには日本人が確実に増えている。十数年前の中国にそっくりだ。

 ほろ酔い気分で勘定を締めてみると、なんと1人20万ドンちょっと。1200円。それは安い。というよりも、コストパフォーマンスが満点。また、来よう。ご馳走様でした。