<広州>私の熱愛する現地妻、潮州料理

 出張先の広州には、私の熱愛する現地妻がいます。それは、潮州料理!

 広州の夜、迷わず潮州料理の探検に繰り出す・・・

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 料理に半端でない情熱を燃やし、日々研鑽し、且つ、度重なる実戦を経験し、「北大路魯山人」の著作などを愛読書とする方々に、熱烈に薦めるのは、潮州料理でございます!とはいっても、ハードルを高くするわけでなく、潮州料理の特殊性を強調したいのです。

 立花流でまとめた潮州料理の八大特徴は、以下の通りです。

 (1) 結論からいうと、潮州料理は、日本と共通する食材やあっさりした味付けなど、日本人には馴染みやすい料理です。

 (2) でも、潮州料理は、きわめて地味な料理で、他の中華料理の派手さはなく、宣伝不足もあってか、日本人にだけでなく、中国人にも馴染み薄い。

 (3) あっさりした味付けとはいえ、出汁に高価な素材を多用し、見えないところにお金をかける料理です。

 (4) 表向きには、豪華さに欠け、高価な食材を多用するわけでもないのに、料金が高いため、一般消費者にとって、納得性があって、コストパフォーマンスの良い料理には見られません。

 (5) 潮州料理を十分に堪能するには、抜群の味蕾の持ち主で、且つ、高い料金に釣り合わない貧弱なサービスへの寛容心と忍耐力の持ち主でなければなりません。

 (6) 潮州料理は、女を口説くためのデートスポットには、不向きです(ただし、彼女が潮州料理の熱烈なファンならこの限りではない)。

 (7) 本当に美味しい潮州料理に有りつくために、高度な情報収集力を有し、且つ、失敗や挫折に惜しげもなくコストをかける用意を有さなければなりません。

 (8) 潮州料理の虜になれば、金銭をとことん注ぎこみ、家族の理解を得なければ、家庭崩壊のリスクを覚悟しなければなりません。

 潮州料理とは、何か?

 潮州料理は、広東省潮州市や汕頭(スワトウ)市を中心に食べられている地方料理。タイ、シンガポールなどの華僑、華人コミュニティーで食されています。

 潮州料理は、乾物、魚醤、塩などを使った、旨みと塩味を持った料理です。もともとの文化、通商の中心地である潮州市は韓江で海とつながっているが、海岸線からは20キロほど内陸にあり、スルメ、干し牡蠣、魚の干物、乾燥させた浮き袋などといった海産物系の乾物をよく利用してきました。これらの素材を煮てやれば、旨みを引き出せるので、スープをはじめとして、比較的あっさりしているが素材の旨みを活かした料理に特色があります。

20091_4 卤水併盤

 また、現在の経済の中心地である汕頭は、海に面しており、新鮮な魚介類が手に入るため、蒸して作る魚や蟹などの海鮮料理も特徴です。他に、魚、イカ、エビのすり身で作る練り製品も良く食べられています。

 一方、炒めものなどは、ニンニクを使って炒めることが多いなど、福建省や台湾と近い特徴もあります。米作地帯にあるため、米を素材とした料理が発達しており、点心も米の粉で作ることが多く、麺類もライスヌードル、ライスケーキ(餅)が基本です。

 では、潮州料理の探検に繰り出しましょう。今宵目指すところは、広州・天河中心地の国貿中心にある、潮州料理店「潮皇食府」・・・

20112鹵水ガチョウの血ゼリー、歯ごたえが最高

 「潮皇食府」のサービスは、良いとは思えません。8時半くらいになり、お客さんがパラパラと帰りだすと、電気を消したりします。でも、料理は一流といえます。

 下記は、私が昨日(3月11日)いただいた夕食の献立です。立花流の日本語訳をつけました。これで、コメント代わりにさせてもらいたい。

20112_2 青瓜肉砕煮魚肚(88元)

20112b_2 (1) 富貴火腿(28元一人前)

 ●涼拌塘蒿(48元)=断然癒し系、野ヨモギの農家風ドレッシング自然陶酔
 ●鹵水併盤(38元)=これぞ潮州料理定番、鹵水(ルースイ)美味の盛り合わせ
 ●青瓜肉砕煮魚肚(88元)=絶品出汁の青瓜そぼろと魚浮き袋の煮合わせ
 ●富貴火腿(28元一人前)=特製ハムのカリカリ蜂蜜風の包み食い、食感味感ハーモニー共同体
 ●普寧炸豆腐(28元)=普寧田舎風の厚揚げ、淡白熱々チーズ状豆腐で幸せの絶頂
 ●普寧炒米粿(48元)=とろける普寧風柔らか米餅の牡蠣・野菜スパイシー炒め合わせ
 ●蛎仔肉砕粥(28元)=牡蠣とそぼろの薬膳風粥、胃腸をいたわる締めくくり
 ●酒=10年物の紹興酒、ストレートでいただく、何も足さない、何も引かない。

20112_3普寧炸豆腐(28元)

20112b_3 普寧炒米粿(48元)

 今日は、香港から友人が広州入りします。これから、合流して、同じ店へ行きます。

<Part 2>

 潮州料理を現地妻と位置づけする以上、「妻の手料理」の温もりを求めます。潮州料理「潮皇食府」に2日連続通うことになったのは、今回予定していた料理は、一日で食べきれず、「満漢全席」状態になったためです。

 そして、広州出張二日目、3月12日の予定テーマは、「温もりの家庭料理」です。香港から、以前勤めていたロイター通信社時代の部下・木津さんも広州入りし、合流します。

 今日(3月12日)終日、広州で某日系企業顧客の人事制度立ち上げ案件でした。夕方、打ち合わせが終わると、お客様から夕食を誘われました。お客様とオフで情報交換の場を設けることは、非常に重要で、コンサルティングのヒントを得ることもよくあり、私は通常喜んで受け入れます。今日は、どうしてもこのような先約があって、「申し訳ございません」ということになりました。

20170 尖椒炒老蛋(38元)

 19時過ぎ、店に到着すると、特別に小さな個室が準備されていました。最近、不況のせいか、この店の個室最低料理金制度が撤廃されたそうで、個室で低料金の食事もできるようになりました。われわれは、スタッフにあれこれ根掘り葉掘り聞いたり、写真撮影したり、沢山細かい注文もあったりして、他のお客様の迷惑になるので、個室がありがたい。

 下記は、3月12日の献立です。例によって、立花流の日本語訳をつけて、コメント代わりにさせてもらいます。ちなみに、品数が多いため、前菜やスープなどを一切取らずに、いきなり料理に入ります。

20170_3 香煎農家豆腐(38元)

20170b_3 野山椒豆鼓鶏(58元)

<山の部>
 ●尖椒炒老蛋(38元)=人生の苦楽を教える、ピリピリ激辛唐辛子と癒し卵の炒め合わせ
 ●小麦腰豆煮百合(38元)=小麦、うずら豆、ゆりの根、田舎三兄弟の仲良し煮合わせ
 ●金針雲耳炒腩肉(58元)=村の小晴れの日祝い、金針菜、きくらげと豚ばら肉の炒め合わせ
 ●香煎農家豆腐(38元)=揚げ出し農家豆腐の出汁効き醤油風味仕立て
 ●野山椒豆鼓鶏(58元)=野山の歌声、地鶏と天然山椒の豆鼓ピリ辛炒め

<海の部>
 ●香煎(虫毛)仔烙(48元)=漁村のおふくろの味、牡蠣オムレツ
 ●魚蛋片清湯羅卜煮(68元)=潮の味、つみれと大根の具沢山出汁スープ煮込み
 ●菜心螺仁粥(28元)=素朴と贅沢の合体、さざえと野菜のお粥

<食事>
 ●黄金煎伊麺(42元)=福建風出汁伊麺(イーミー)の黄金パリパリ揚げ

<酒>
 ●酒=10年物の紹興酒、ストレートでいただく、何も足さない、何も引かない。
 ●ビール=サンミゲル、青島

20170_4 香煎(虫毛)仔烙(48元)

20176_3 菜心螺仁粥(28元)

 「潮皇食府」のサービスがあまりよくないと書きましたが、少し訂正を入れました。一見さんに愛想がよくないが、馴染みになってくると、とても親切にしてくれます。2日目の食事は、一気に王様気分に。

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 私たちの個室を担当してくれたウェイトレスは、広西省出身で、普通話が上手ではありません。でも、笑顔がとてもすばらしい。すっかり癒されました。中国の人、みんなこんな人だったら、この国はきっと世界一強い国になるのでしょうね。

 本当に、ご馳走様でした。

 ドゥオジェ、グゥンジュウ~多謝広州!また来ます!