米の対タイ関税制裁、労働者権利でマレーシアも雇用法改正加速化

 米通商代表部(USTR)は10月25日、タイからの輸入品で認めている特恵関税制度(GSP)を一部停止すると発表した。タイにおける労働者結社の自由や団体交渉権の保護など、「国際的に認められた労働者の権利を適切に提供できていない」として、電子部品など13億ドル分への低関税を半年後から停止する。

 10月26日付けの英字紙「バンコク・ポスト」が大きく報じた。これに続いて、10月30日付でマレーシア大手華字紙「南洋商報」もトップで、「米の対タイ制裁、次はマレーシアの番だ」と報じ、危機感を顕わにした。

 マレーシア人的資源省クラセガラン大臣は29日に開催された国家労働諮問機関(NLAC=National Labour Advisory Council)の第10回会議で演説し、米国の対タイ特恵関税制度停止のような制裁を受けないためにも、早急な労働法改正が必要だとし、労働者権益の国際基準化を加速させる意向を表明した。クラセガラン大臣は、11月4日にも1955年雇用法改正案と1959年労働組合法改正案について諮問会を開催し、早急に結論を出すようにするとした。

 米国のトランプ政権は自国利益最優先政策のもとで、対中貿易戦争から東南アジアへの産業移転をも見落としていない。アセアン諸国の対米競争優位性を弱化するために、各国に労働者の労働基準の引き上げを迫り、圧力を強めている。国際的労働基準への引き上げとの美名の下で、労働組合活動の活発化や労働者権益保護意識の強化により、最終的に労使関係の緊張化、人件費上昇につながる。

 マレーシアの雇用労働法改正には要注意だ。

タグ:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。