日本共産党は「有望株」、党綱領改正で差別化を明確に

 日本共産党は2020年1月の党大会で16年ぶりに綱領を一部改定し、中国を念頭に大国主義・覇権主義を批判する内容を盛り込む。中国共産党との立場の違いを示す一方、将来的に政権の一翼を担う可能性を視野に、野党連携や幅広い支持獲得に向けた姿勢を打ち出す狙いがある。

 綱領は1961年に決定され、今回の一部改定は2004年に全面改定されて以来初めて。中国が南・東シナ海を中心に海洋進出を進め、沖縄・尖閣諸島周辺の日本領海に公船を盛んに侵入させるなどしている対外的な変化を受けた。志位和夫委員長は「共通する政治的・思想的立場はなく、核兵器への態度や覇権主義の行動、人権侵害は『共産党』の名に値しない行動だと考える」と理由を説明した。改定には野党共闘を円滑化させる狙いもある。党大会では「野党連合政権」を22年までに樹立するとの決議も了承する(2019年12月25日付朝日新聞デジタル)。

 数年前から私が言っていた、「共産党は有望株」という発言。徐々に現実になりつつある(参照:2016年9月4日付記事『日本共産党の怪奇な豹変、自共対決の構図に向けて』ほか多数)。

 先日、日本共産党が香港民主化運動への支持を公開表明し、中国大使館に乗り込んで抗議したことを、私がWedgeへの寄稿記事に取り上げた。私のWedge記事がまた、「しんぶん赤旗」に取り上げられたことに私自身が驚きながらも、驚きに値するべきものではないと考えた。

 共産党の政権入りは決して寝言ではない。中国利権の清算で今回の秋元司議員逮捕が場合によってリクルート事件以上に発展し、共産党以外の与野党に広がる可能性もある。政権担当などすぐには無理かもしれないが、日本共産党には着々と土壌が形成されつつあることは間違いない。

 自民党の利権腐敗が問題だ(きちんとしている政治家もいることはいるが)。自民党の利権腐敗は、中国共産党のそれにある意味で似通ったところがある。勿論スケールが全然違うけれど。ただ政治的基盤についていえば、自民党のそれが中国共産党よりはるかに脆弱だ。民主政治のなか、簡単に崩れる(崩される)からだ。

 それを狙っているのが日本共産党だ。マーケティング的にいうと、いまの日本共産党がもっとも、差別化に成功している組織である。イデオロギーを別としてだ。私の持論は間違っていない。日本共産党は有望株だ。日本共産党に政権を奪われたくなければ、自民党はこの際、徹底的な自浄作用で自身にメスを入れることだ。できるのだろうか。

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