中途半端な街、中途半端な国~だから愛してるよ

 クアラルンプールって、どんな街だろうか。そして、マレーシアはどんな国だろうか。移住して7年目になるが、未だに正確に答えられない。

 クアラルンプールに関していうと、香港ほどギラギラしているわけでもなければ、シンガポールのような無機質的な洗練さも持ち合わせていない。かといって、バンコクのカオス的な魅力があるかというと、それも欠落しているように思える。なんと、中途半端な街であろう。

 でもね、私はクアラルンプールのこの中途半端さが大好きだ。しかも、停滞的な中途半端さ。街をぶらぶら歩いて足元をよく見ないと、穴や段差でガクッと足を捻って数週間と治らない捻挫の苦痛を味わったり、下手にすると空いたマンホールに落ちたりするかもしれない。

 仕事を業者に頼んでも、商売なのに見事に時間を守らないどころか、失念したりすることだってある。「忘れました」と、素直に認めるあの笑顔に怒るどころか、癒されるほど甘美な心地よさを感じてしまうようになった私自分も相当堕落したものだ。そして、すべては確信犯的に、再発をわくわくして心待ちにしているところがすでに堕落を超え、変態的とさえいえる。

 そんな街であって、国である。経済発展に意欲を示さない人たち。故にこの国は、発展しない。それがこの国の素晴らしさである。物価はいつ経っても安いし、株も不動産も一向に上がらない。いつまでもこの中途半端さを維持しながら、悠長に時間が流れてゆく。

 だから、愛してる。クアラルンプール、そしてマレーシア。

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