「3階建人事制度」2014年版リリース、温和円滑導入に構造最適化

中国経営の唯一選択 エリス・コンサルティング独創
3階建人事制度
2014年版

 中国の雇用・労働現場は一種の末期症状を呈している――。

 事実上の解雇不能、減給不能、降格不能、一部配置転換や業務命令不能……。企業は人事権をほとんど喪失し、多発する労務トラブルは主に交渉などの法外解決に頼っている。それが個別事案にとどまらず負のスパイラルを生み、企業経営の秩序ないし企業文化への侵食が進んでいます。それに中国国内の人件費高騰や日中関係の悪化などのマイナス要素がさらに追い討ちをかけ、日系企業はまさに四面楚歌の境地に陥っています。

• 悪の抑止機能、勧善懲悪・信賞必罰・新陳代謝機能の喪失

 中国の企業現場では、性悪説による失敗事例が極めて稀ですが、性善説による失敗事例は星の数ほどあります。時には性善説は自殺行為に等しく、中国流の性悪説をベースとした思考回路が必要です――性悪説があっての性善説、悪の抑止機能があっての善の助長です。中国独自の法制度や社会事情により、善と悪、勤勉と怠惰の損得関係が逆転することがしばしばあります。それが故に、善・勤勉の委縮、悪・怠惰の増大が進み、組織の堕落や腐敗ないし企業文化の崩壊を招致します。組織には必ず勧善懲悪、信賞必罰、新陳代謝の機能が必要です。

• 無固定期間労働契約回避の無意義化

 2008年「労働契約法」施行後、固定期間労働契約が大幅に規制されるなか、多くの企業は雇用柔軟性の少ない無固定期間労働契約に抵抗を示し、締結回避にさまざまな措置を講じてきました。しかし、無固定期間労働契約の回避に伴う法的リスクが高まり、労使間の不信感も募る一方です。無固定期間労働契約がいずれ主流雇用形態となるなか、もはや単純な回避策は限界が見え、決して賢明な選択ではなくなりました。

• 解雇機能の事実上の喪失

 2008年以降の中国労働法制度では、解雇要件に挙げられる法定事由に対し厳格な立証義務が課せられています。それが一般企業にとってみれば過酷なほど厳しく、多大なコストもかかり、もはや実務上完全な立証義務の履行は不可能に近い。このため、企業の立証による一方的解雇行為は実務上の可能性がほとんど伴わず、単なる空論と化しています。

• 辞職動機付けの事実上の喪失

 企業の立証による解雇機能を喪失すると、金銭をはじめとする解雇利益が伴う交渉、つまり「法外解雇」が生まれます。逆に、労働者の一方的辞職は経済補償金の法定義務がないため、労働者にとってみれば辞職よりも解雇の方に魅力を感じるようになります。このため、労働者は辞職の動機付けを失い、解雇交渉の誘発を企業に仕掛ける結果になります。

• 企業人事権の事実上の喪失

 現行中国労働法制度のもとで、賃金調整やポスト調整、異動・配置転換、一部業務内容の変更指示などが労働契約の変更扱いとして、すべて労使双方の書面合意を必要とします。いわゆる企業の人事権行使が重大な障害に直面し、事実上の人事権喪失と言っても過言ではありません。日本国内では、正社員の解雇には厳格な要件が課されていますが、企業に広範な人事権が容認されているため、企業組織の柔軟性が保たれています。しかし、中国の場合、解雇権も人事権もそろって失った以上、企業組織はもはや硬直化の一途を辿るしかありません。

• 人件費コスト上昇と中長期収益性低下

 人事の問題である以前に財務の問題。中国の人件費上昇は法制度や企業人事制度など多面的な要素を内包しています。無固定期間労働契約による終身雇用の定着と解雇権、人事権の喪失によって、賃金右肩上がりの硬直化、人事労務管理コストの大幅増、さらに今後導入必至とされる法定退職年齢の引き上げが追い打ちをかけるように企業財務と事業収益性を直撃します。人件費の抑制と労働生産性の向上は当座の急務となっています。

 「ヒト」という企業経営上もっとも基本的な問題を抜本的に解決するには、エリス・コンサルティング独自開発の多重層・複線型人事制度(通称「3階建人事制度」)以外、一切方法はありません。2007年から「労働契約法」の施行に伴うマイナス影響を早い段階から予見し、人事制度の構造改革に取り組み、多くの事例から膨大なデータベースと独自のノウハウを積み上げてきました。

 幾度か革命的な進化がありました――。2011年に従来の「2階建制度」から「3階建」へと変更し、運用上の柔軟性を付与しました。さらに、その後制度自体のブラッシュアップに加え、導入のしやすさに着目し、企業内各利益集団間の対立や労使対立を回避し、比較的に温和な導入アプローチを目指し、大幅な構造最適化を行い、複線化の実現によって安定した制度の移行を可能にしました。

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