「日本の若い人は元気がない」症候群、中国にも上陸蔓延中

 ここ2~3年、当社の日本人採用は、ほとんど失敗でした。

 会社側の育て方について、反省すべきところは反省しますが、社員側の問題も少なくなりません。全体的にいうと、若い日本人に、「だるい、元気がない」という印象を受けます。逆に、同世代の中国人スタッフで、ガッツを感じさせてくれる人が相対的に多かった。

 本ブログにも、立て続けに関連記事を2本書いています。(09年3月15日掲載『現地採用日本人のここが困る、日本人らしさの喪失と日本語力低下』)、09年03月19日掲載『非常識な現地採用日本人が増殖中、採用には要注意!』)をご参考ください。

 「最近の若い日本人は、だるい、元気がない」と感じたのは、どうやら私一人ではなかったようです。

 2008年度のノーベル化学賞を受賞後、初来日した下村脩・米ボストン大学名誉教授は3月23日、記者会見で、「日本の若い人は元気がない」と苦言を呈し、自分が興味を持てることはリスクをとって取り組むべきだと訴えました。(『日本経済新聞』09年3月24日付報道)

 70年代後半以降生まれた世代は、日本のバブル期を経験していません。国家の繁栄を知らない世代は、確かに不幸な一面があります。世の中は、今日よりも明日が良くなるという確信を持てない。すると、・・・

 ガッツよりも脱力感、
 やる気よりも逃げ道、
 リスクよりも安全パイ、
 自信よりも他人任せ、
 出世よりもぶら下がり・・・

 の様相を呈します。

 バブルの崩壊、世の中のせいにしたら、何も始まりません。不況だからこそ、生き抜くために一生懸命やるべきではないでしょうか。

 このブログで、私が中国人の若者の生態や価値観を非難する場面も多い。しかし、日本人の若者に感じられなくなったもので、中国人の若者がもっているものは、あります。

 一生懸命生きる力、生命力なのです。

 国連難民高等弁務官事務所 ウガンダ・リラ事務所長・高嶋由美子氏は、難民の人は強いと言い切ります。氏は、こう語ります。

 「今まであったものが何も無くなったとしても、いかに良く生きるかを考える、落ちないと見えない生命の真実がある。・・・裸一貫になって何かをした経験のある人は強いと言われるが、そういう根源的な時に出てくる生命力は、難民のキャンプの中で出ているものと同じだ」 (『日経ビジネスOnline』08年5月27日付「すべてを失ってなお輝く生命力」より)

 中国という国は、この30年で、裸一貫のどん底から這い上がったようなものです。そういう意味で中国人の生命力は、半端ではない。若い日本人の世代にとって、至近距離でこの中国を見つけて、真剣に考える時が来たような気がしてなりません。