初の直接対戦、米大統領候補者討論会視聴雑感

 9月29日(現地時間)、米大統領選の第1回候補者TV討論会を視聴した。

 NHKは「激しい論戦」と速報したが、そう思わない。「トランプ大統領がたびたびバイデン氏の発言に割り込む異例の展開」との報道も正しくない。相手の発言に割り込むのがトランプの習慣。バイデンも今回、たびたび割り込んできた。

 トランプ大統領は予想よりも穏やかだった。対中政策などいくつかのアジェンダでバイデンへの厳しい追及はなかった。逆にバイデンは意外にも善戦したといえる。基本的に調子が安定していて顕著な「ボケ」はなかった。これで、大方のリベラル系メディアは、「バイデン大勝」と報じるだろう。

 初めての直接対決であるから、トランプはエンジン全開を控え、相手の出方を確かめるという姿勢だった。特にバイデン氏次男のチャイナ・マネー疑惑にについて「あなたの息子は中国で大儲けしているそうだ。350万ドル手に入ったとか?」と触れる程度にとどまり、深く切り込まなかった。それはナイスだった。ただ、全体的に、トランプ自身の成績を裏付けるデータが少なかったのが残念。

 バイデンはよく準備した。ボケをさらけ出さないためにもいろいろ工夫した。トランプの政策や政権運営に対しては、込み入った議論を避け、とにかく全否定の姿勢に徹した。議論に弱いという弱点を避けるにはこれが有効。ただ全否定は情弱層にはある程度効くが、少しでも情報をもっている人は全否定に含まれる間違いにすぐ気がつく。

 たとえば「国内暴動は、トランプが喜んでさらに火に油を注いだ」というバイデンの批判はまったく馬鹿げている。国内暴動を喜ぶ現職の大統領などいるのだろうか。普通は暴動にトランプが無策だったというだろうが。やはり頭がおかしいとしかいいようがない。ただトランプはいちいち細部に切り込まなかったのが今回の戦略だったようだ。

 経済について、コロナ拡散に「経済をクローズすべきだ」というバイデンの主張も民意に反している。コロナと付き合いながらも経済を開放していこうというトランプの政策を否定するために言い出したのだろうが、洗練されたアイデアとはいえない。

 全体的にトランプに有利な情勢が大きく変わることはないだろう。

<2020年10月1日補筆>

 昨日の米大統領選候補者TV討論会、史上最悪と評する人が多いが、どうしても責任というなら、司会者(ルール設定)の責任だ。

 テーマ毎に、1人に2分しか時間が与えられていない。逆立ちしても喋り切れない。論理的に、いくらシンプルにまとめても、最低5分は必要。込み入ったテーマだと10分はかかる。

 2分だったら、罵り合うことしかできない。
 
 トランプにしてみれば、テキサス州の田舎町で、コーラの2Lペットボトルをラッパ飲みする労働者が支持者だったら、2分も5分も変わらないかもしれない。

 1日肉体労働で汗かいて、コーラでもビールでも、ラッパ飲みしてバカヤローと罵る労働者の気持ち、評論家やインテリ層には分からないだろう。

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