<北京>ほっこり料理・萬菜、セピア色の「日本」で涙ぐむ

 9月17日、北京出張の最終日、顧客に連れて行っていただいたのは、この店。

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 ごくごく普通の家庭料理。だから、すばらしい。その温かみで、無性に日本を感じて涙ぐむ。感性も、情熱も、気品も感じられない大味な日本料理が溢れる中国では、「萬菜」は小粒でありながらも、きらりと輝く店だ。

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 家庭風料理にこだわり、一品一品、丹念こめて丁寧に作っている。お客さんのことを絶えず考えてくれていることは、しみじみと伝わってくる。

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 予約した席に、小さなメッセージ紙が置かれている、名前入りで手書き。高級ホテルに泊まると、部屋に名前入りの挨拶状が置かれていることが多い。そのほとんどが、定型文になっていて、ゲスト名を変えてプリントするだけのものだ。デジタル時代のアナログは、別の意味を持つ。それは、相手に対する愛情表現だったりし、砂漠のオアシス的な存在を演出する。

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 メニューは、アルバムになっている。写真と手書きのコメントが、無規則に閉じ込められている。アルバムには、昔懐かしい、古き良き時期の思い出が凝縮されている。そのようなセピア色の思い出に涙を誘われる。

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 そう、この店には、セピア色が似合う。時代の変遷で色褪せしたものが、一つ二つと蘇ってくる。私たちの疲れ果てた心のオアシスになってくれる。

 おばんざい屋さんの料理だが、どれも旨い。出汁もしっかり取っているし、食材の持ち味をよく吟味して丁寧に仕上げている。また、お酒も進む。当日薦められた「ガツンとする」、薩摩無双だが、あっという間に1本空けられた。

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 ご馳走さまでした。

 これから、北京拠点の立上げで、1か月中の数日は北京で過ごすことになる。一人でも、カウンターで寛げる店を何店舗か見付けたい。冬に向けて心の温まる店っていいなあ・・・

★家庭・惣菜料理・萬菜(VIN ZAI)
<住所>   北京市朝陽区新源南路8号
<電話>   130-3111-8170 (長谷川氏、小野氏)
<営業>   18:00~24:00
<予算>   100元~300元/人