激変中の不変、永遠なる第一次産業の明日は明るい

 日本人は基本的に変化を嫌う。時代がどんなに激変してもたった1つだけ変わらない産業がある、それは第一次産業、農業だ。世界がどう変わろうと、人間は食わずして生きていけないからだ。メタバースがあっても、メタフードでは無理だろう。

 アメリカの未来学者アルビン・トフラー氏がその著作『第三の波』(1980年)で3つの波についてこう描述する――。

 「第一の波」「農業革命」で農耕社会になった。前半は手作業による耕作で農民が増えたが、後半の農業機械化によって農民は減少に転じた。削減された農民は都市に向かい、次の波に乗って製造業ワーカーになっていった。

 「第二の波」「産業革命」によって工業化社会が実現した。前半は工場で多くのワーカーが働いていたが、後半はロボットなどで自動化・省力化され、労働者はどんどん削減された。削減された人々はやはり、次の波に用意された受け皿もあって、ホワイトカラーになっていった。

 次は「第三の波」「情報革命」が起きて脱工業化社会になる(トフラー氏が20年後の情報化社会の到来を見事に予見していた)。前半はコンピューターの導入によって高度化した間接業務に大勢のホワイトカラーが雇われたが、後半はそれらの仕事がITに置き換えられていき、大半のホワイトカラーは不要になった。

 今や「第四の波」「サイバー&AI革命」が始まっている。これも前半は大量の雇用が創出されたが、問題はここからの後半だ。後半はこれまでの3つの波と同じく、人間が淘汰されていくだろう。ロボットや人工知能は物流から医師や弁護士といったエリート層にまで浸透する。

 私の仕事、経営コンサルタントも消滅することを前提に考えなければならない。リスクヘッジとして農業にかかわりたいと考えている。どんな産業の変化があっても人間には「食」が必要だ。「食」を営む農業、特に「食」を生み出す農地からは価値が消えない。

 人工肉や人工野菜といった工場から生まれる「工業食」と農地から生まれる「農業食」、後者の希少価値が明らかになっていくだろう。世界規模の食料危機が語られている。そんな中で日本の食料自給率(カロリーベース)は37%(2020年)まで低下している。

 産業社会の発展はらせん型の上昇である。要するに垂直方向から俯瞰すれば、常に円を描いている。トフラー氏が説いた3つの波もそして今の第四の波も例外なく、前期と後期という同じサイクルをたどっている。

 そして第四の波においては、第一次産業に向かう回帰現象が生じるかもしれない。そんな気がしてならない。

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