戦争に、国際法はあまり役に立たないそれだけの理由

 ウクライナ戦争について、「国際法」を持ち出して、戦争や戦争実施の正当性を議論しようとする人がいる。学術的にともかく、実務においてはあまり意味がない。

 以前、私がロースクール時代に国際法の授業を何回か取ったことがあって、私なりに出した結論からいうと、国際法は法律ではない、政治である。国際法には3つの主な特徴がある――。

 まず、力をもつ国が立法、国際法の制定にあたって有利な立場にあり、ルールメーカーとなる。そのうえ、法の解釈権も力によって担保されている。

 次に、警察がいないことだ。たとえば、戦争犯罪といっても、戦場には中立的な第三者(警察や司法鑑定者)がいないわけで、即時に現場に立ち入り証拠保全などができない。当事者が被害を申し出ても、利害関係者であるから、証拠も証言もまず疑われる。

 最後に、たとえ公正な判決が下されても、国際法には強制執行力が伴わないため、判決文は紙くずになる可能性が大。

 とはいっても、国際法はないよりあった方がいい。ただし、国際法を法律としてではなく、政治としてみるべきだろう。

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