ウクライナン戦争下の欧米露経済を比較してみよう。どっちが勝っている、どっちが負けている?
まず、ロシア。ウクライナン戦争開戦当時、西側の予測――「ロシアは欧米の全面制裁を受け経済が破綻し、GDPは少なくとも15%減、国内の不満が噴出し、プーチンは失脚するだろう」。この手の予想は、完全に外れた。
現状はどうだろう。ルーブルは戦前レベルに戻り、強い通貨になった。ロシアは2月下旬以降、少なくとも650億ドル分の天然ガスや石油を輸出し、儲かっている。常態だったインフレも特段と悪化しているわけではない。西側メディアでさえ、データだけは捏造できない。5月7日付けのエコノミスト誌記事「ロシア経済が立ち直りつつある」は「制裁の影響が限定的」と認めざるを得ない。
次に、欧米をみてみよう。ハイパーインフレ直前、アメリカの経済成長率は-1.4%でスタグフレーションの惨状である。2021年の米国の貿易赤字は初めて1兆784億ドルを超え、国内総生産(GDP)のほぼ5%に相当する。ドルベースでは過去最高を記録。国債は30兆ドルに達している。
バイデン政権はウクライナに毎月50億ドル規模の援助をしているが、ドル札を刷ればいいわけで、インフレで貧困に陥るのはアメリカの中産階級であり、死んでいくのはウクライナ国民である。戦争の収益とバックマージンは戦争の長期化に正比例して膨らみ、特権階層のポケットに流れる一方だ。
そして、日本。ウクライナ支援は、日本国にどんな利益がもたらされるのだろうか。経済成長につながり、国民が豊かになるのか。それとも、正義感の自己満足か。