マラッカ(5)~借りた時間と借りた場所

<前回>

 どこの街も観光名所といえば、教会や寺院がある。こういった建物・施設の主な効用は、宗教と観光。しかし、私は自分の用途があって訪ねることにしている――。自分の神と会い、対話するための場所として使っているのだ。マラッカにもいくつかの古い教会や寺院がある。

 宗教施設として建てられた教会や寺院は、祈るための場所であるから、神聖で荘厳な雰囲気に包まれている。そういう空間のなかに置かれると、気持ちを自然に切り替え、神様と会いやすくなる。無宗教・有信仰の私は、特定の宗教の特定の神ではなく、自分の神と会い、対話する。そのために、教会や寺院という場所を拝借するわけだ。

 大変失礼な使い方と思われるかもしれないが、私は、信仰の活性化は宗教を超えて人類共通の思想行動、ひいては徳や善を積むための源泉であるから、どの宗教も相通ずるものだろうと捉え、そうしているのである。

 教会や寺院に入り、雑念を捨て、心を静め、目を瞑り、しばらく時間が経つと異なる景色が見えてくる。私自身のなかにある神が現れ、対話できるようになる。神に叱られたり、励まされたり、そして問答しているうちに迷いが解け、世界が一変し明るくなる。

 借りた時間と借りた場所、神と会い、対話する。

<次回>

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