外国人の日本料理会食、3つのタブー

 外国人との日本料理の会食は、私の場合、まず3つ忌避する――割烹・懐石・おまかせ

 なぜなら同じコストをかけて彼らを数倍も喜ばせられる和食が他にもあるからだ。外国人がイメージしている日本料理、外国人の固有味覚(おふくろの味)に近い日本料理、たとえ日本人から邪道と思われてもいいから、食わせることだ。文化発信よりも喜んでもらうことが目的だから。接待の生産性ということだ。

 なので、一般の日本人料理人には任せてはいけない

 アリババの元会長、大富豪の馬雲(ジャック・マー)氏は箱根の別荘に隠居し、寿司屋へ通っている。ニュースでは、「馬氏は大の寿司好きとして知られている」と報じ、週刊誌FRIDAYは彼のお気に入りだという箱根の寿司屋に話を聞きに行った――。「ネタは、トロとウニがお好きです。10貫ずつ頼まれることもありますよ」

 「寿司好き」よりも「トロ・ウニ好き」である。馬氏に限った話ではない。普遍性がある。日本人が好む「白身」や「光もの」を出しても、喜ばれない。とにかくトロとウニの「集中攻撃」。

 私は以前、中国人経営者との会食に特別リクエストの「トロ・ウニコース」を出したことがある。最初から最後までトロとウニ―尽くし。通常の握り寿司や軍艦巻き以外に、トロカツ、ウニ天ぷら…。日本人からすれば、もうくどい、邪道という怪物コースだった。中国人経営者は大喜びだった。

 それは味覚や感覚ということだ。本格派の懐石などはやめたほうがいい。冷たくて、細々として貧弱だと、ろくな評判にならない。お金を無駄遣いするのがオチだ。

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