マハティール「ルック・チャイナ」、中国に学べと呼びかける

 マレーシアの元首相マハティール氏は、春節に先立って談話を発表した(2023年1月13日付、マレーシア「星洲網」)。

 「今の中国はよく発展している。中国人から学ぶべきことはたくさんある。たとえば中国の製造業はよくやっている。なかにも、自動車産業。中国が作っている自動車は今や、日本や西側の車と比べても遜色ない。将来的に代替燃料車の製造技術分野では世界をリードするだろう」

 かつてあの「ルックイースト」政策で親日家とされるマハティール氏は、決して日本人が考えているような親日家ではない。正確に言うと氏は愛国者であり、国益のためなら親日でも反日でも豹変できる指導者だ。時代的に日本から学ぶことが国家に有益だから、「ルックイースト」政策を取った。それだけの話だ。

 マハティール氏は2022年5月26日、NHKのインタビューに応じ、IPEF(インド太平洋経済枠組み)について「中国を排除し、対抗しようとするものだ」として否定的な見方を示した。日本人的な感覚ではこれが「親中」とも言えなくはないだろうが、そうではない。彼はあくまでも「国益」に徹しているだけだ。

 外国人には一部マニアックな日本ファンはいるものの、原理主義的な親日家はほとんどいない。いてもほんの一握り。某国人が親日だとかそういう次元でいえるような規模ではない。

 自己陶酔はやめよう。日本人はなぜ堂々と、「中国に学べ」と言えないのか?器の問題。例え敵であっても、敵だからこそ、学ぶべきだ。敵に学び、敵を知り、そして、敵に勝つ。

 これが、戦略家の器。

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