中国の大金持ち、金持ちと貧乏人

 数日前、中国人民銀行が予想外の時期に金利の引き上げを発表した。しかし、株式市場は瞬間にして売りが先行したが、すぐに上昇に転じた。金利引き上げの影響はきわめて限定的という市場の反応だろう。

 金利と株式市場の関係や、金利と為替の関係など、私たちが学校で学んだ知識が通用しない、ときには逆行する場面も、中国ではしばしば発生する。

 資本市場での人民元の流通がまだ開放されておらず、国際市場との乖離がたびたび原因とされるが、確かにそれは重要な要素であると思う。だが、それだけではない。中国国内の金融市場を見ると、金融投資商品が香港などに比べると、信じられないほど貧弱だ(規制と金融業界の人材の稀少、そして消費者の未熟という三重の要素が)。あと、政策のブレも大きな問題だ。

 中国では、投資といえば、不動産か株。正確にいうと、土地、不動産と株。

 土地は、地方政府やデベロッパーなど多重層の利益集団が絡んでいるため、一般国民に無縁の世界である。そのため、中国では、「大金持ちは土地、金持ちは不動産、貧乏人は株」という図式が成立してしまう。

 今年に入ってから中国政府は、不動産相場の安定(下落)を狙って、一連の政策を出動したが、あまり効果が見られない。いよいよ、金利引き上げに踏み切った。そこで、一部だぶついた資金は、不動産市場から預金に向かうことなく、株に投じられることになる。そこで、株式市場は上記のような反応を示したわけだ。

 中国はいま、かなりバブルが膨らんでいると思う。金余りと金不足が同時に発生している。銀行機能の不全が解消されていない。政策融資が盛んに行われる中(収益性が良いならまだしも)、優良な中小企業には資金が回っていない。市場の競争でも、完全競争メカニズムが欠落しており、「独占禁止法」の実効性が薄い。

 だぶついた資金をどんどん研究開発に投じればよいが、それもあまり中国企業が興味を示さない。その背景には、知的財産への保護が十分になされていないことがある。

 教育にも問題が大きい・・・話をしたらきりがないから、この辺で止めておこう。中国の問題は、一言でまとめると、基礎体力の欠如である。免疫力が不足していると、様々な病気にかかる。しかも、症状が出ない病気が特に怖い。
 
 中国投資に余念がない日本企業は、今の状態でいいのか・・・

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