胎児食す中国、「男女平等」を考える

 心臓の悪い方は、本文を読まないでください。

 胎児を食べる?!「胎児食、広東に登場」を読んで気絶。記事を読むと、こう書いてある。

 3000元~4000元で、6か月から7ヶ月の胎児(胎盤)で作ったスープを食す。滋養強壮食として、台湾人ビジネスマンに人気がある。党参や杞子などの漢方、鶏肉を入れて、8時間ほど煮込んだスープ・・・。胎児は冷凍できないから、フレッシュなものはなかなか仕入れが難しい。

 シンガポール「聯合早報」も、2009年8月17日付中国の「胎児食」を報じた。こちらは、福建省泉州市の話だった。胎児を丸ごと食べるのではなく、分解して、料理する。山芋を乾燥させた淮山で煮込み、一皿500元。予約制でも、つねに売り切れ状態という。
 
 この報道に、専門家のコメントも掲載されている。

 泉州市人民医院中医科主任の王金都氏が次のように語った。「漢方の角度から見ると、健康な胎盤は確かに栄養がある。滋養強壮に良い。胎盤を乾燥させて粉末化した後、他の漢方薬と調合して「紫河車」というカプセル状の薬を作る。栄養不良などの病気に効く。が、胎盤の主要成分はたんぱく質で、加熱して調理すると、成分が破壊され、豚の内臓と変わらない。妊婦がB型肝炎の感染者だと、胎盤にも病毒が付いている可能性があるし、食べるのが良くない。倫理道徳上の問題もあるだろう」

 医学的に上記の通りかもしれない。倫理道徳の問題も大きい。インターネットで、法的に、「胎盤の所有権と処分権」は誰にあるのか、という議論も絶えない。

 視点を変えてみよう。そもそもなぜ、供給が存在するのだろうか。女の子と分かると、胎児を処分してしまうというのは、いまでも、中国で珍しくない。胎児はもだしも、生まれた女の子の赤ちゃんでも平気で処分する、このような話も聞く。

 なぜ、男児願望が強いかというと、「伝宗接代」、夫の家系の血統を代々存続させるために、嫁が跡継ぎの男児を産まなければならない社会的背景がある。もう一つ、「養老」のため、いわゆる「老後」の面倒を見てもらうため、男児がほしいと。

 数年前、あるイギリス人(女性)と「レディーファースト」の話題になると、彼女が言った。「『レディーファースト』とは、女性が相対的に弱いから、男性が譲ってあげる、ケアしてあげるという意味ですよ」

 「キャリアウーマン」という言葉があるが、「キャリアマン」は聞かない。女性がそもそも弱いから、キャリアをつけて自立しようという意味が込められているのではないか。中国ほど、「男女の平等」を重視する国家も少ないだろう。「女強人」という言葉もあるが、「男強人」は聞かない。同じだと思う。

 「男女平等」と口々に言っている中国だが、果たしてどうなのだろうか・・・少なくとも、「胎児食」は禁止してほしい。

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