先週金曜日(2月20日)、竹中平蔵元大臣の上海講演を聴きました。
物事をはっきり言う竹中さんは、私の好きな政治家の一人でしたので、主催者のパソナさんから招待を受けて、喜んで講演会に出席しました。
「世の中の変化は、実際に水面下で徐々に起きていますが、現象面では、ある日突然、一気にそれが顕在化します。水がぶくぶくお湯となり、ある臨界点に到達すると、沸騰します。これは、ティッピング・ポイントといいます。世界経済、外部環境は今、ティッピング・ポイントにさしかかっています」
「私たちが今まで変えないでやってきたことを、ここで、変えなければなりません。変えるのなら、思い切って、変えましょう!根こそぎから変えましょう!そうすると、ピンチがチャンスになります。小出ししか変えないのなら、ピンチがより大きなピンチになります。いまは、まさにこのようなティッピング・ポイントに差し掛かっています!」
竹中さんは熱弁を振るいます。
実は、竹中さんが言っている「ティッピング・ポイント」に関連して、ある寓話を思い出します。
沸騰している熱湯の鍋に蛙さんを入れると、蛙さんは慌てて外へ飛び出します。しかし、その蛙さんを常温の水に入れ、水温を少し上げていくと、ぬるま湯となり、蛙さんは見るからに満足げな様子です。さらに、水温を上げていくと、蛙さんは依然と動こうとしないまま、だんだん体力を消耗していきます。そして、熱湯となり、沸騰してきたところ、蛙さんは、すでに鍋から飛び出す力がなくなり、そのまま茹でられ、死んでしまうのです。生存への脅威を感じる蛙さんの体内センサーが、環境の突然の変化を感じることができても、ゆっくりした漸進的変化を感じられずに、臨界点のティッピング・ポイントを迎えます。
人間は、徐々に忍び寄る脅威を察知できなかったり、察知しても早急な対応せずに現状維持しようとしたりします。ところが、量の漸進的変化によって、最終的臨界点に到達すると、一気に、質の変化を迎える。
いま、中国の事業環境も、まさにティッピング・ポイントに差し掛かっています。在中日系企業の皆さんは、鍋から飛び出す決心は付いたのでしょうか、飛び出す力のあるうちに飛び出しましょう。
蛙さんよ、「変える」時期が来ましたよ。