お金以外何も持っていない裸一貫、彼らを相手に商売するか

 つかの間のリゾートが終わった。月曜(5月17日)は出張の続きで、三亜から広州へ飛んだ。

 今回の三亜は、実は初の中国国内リゾートだった。海といえば、いつも定番のタイやバリ島だった。中国のサービスが悪く、同じお金を使うのなら、安い東南アジアの方が良いとずっと考えていた。今回は週末の短い期間とあって、思い切っての海南島だったが、大きな収穫があった。心身ともにリフレッシュできたとともに、中国社会に対する認識もアップデータされた。

37493_2三亜マリオット・リゾート

 海南島の場合、海口市や三亜市などの主要地区でも、最低賃金は630元と、上海のほぼ半分強である。私が泊まったマリオットのような外資系ホテルの一般従業員でも、せいぜい2000元程度の月給ではないだろうか。しかし、ホテルの宿泊料金は割引が効いても1500元ほどかかり、従業員の月給では2泊もできない。日本国内なら、ホテル従業員の給料比例で考えると1泊30万円の高額宿泊費に相当する。2~3泊してホテルで食事をすると、ざっと100万円以上の消費になる。

 まさに貧富の格差を強烈に意識させるものである。しかも、貧困者ではなく、外資系ホテルの従業員と客の格差。ホテルの従業員は、どういう目線で客を見ているのだろうか。私は、それを考えると、身の引き締まる思いで3日間過ごした。従業員の労働には最大限の敬意をもって接し、常に笑顔を絶やさない、「ご苦労様」「ありがとう」と労をねぎらう言葉を絶やさないようにしていた。

 「企業が従業員を尊重すれば、従業員も客を尊重する」と、従業員の人格尊重を経営理念とする某日系企業の総経理の話を思い出す。そこで、さらに付け加えると、「客が従業員を尊重すれば、従業員も客を尊重する」

37493_3海南の海

 「顧客は王様」というセリフには、私は完全賛成ではない。無原則に顧客を王様扱いする必要はない。人格尊重は双方向であり、決して一方的なものではない。従業員の人格を尊重しない顧客をそれでも顧客としていいのか、企業経営にとって大きな課題であり、難題でもある。企業の倫理観にかかわる重大な問題だ。

 日本は国内の閉塞感から中国人観光客の誘致に余念がない。ビザ発給基準も、年収を条件とする。お金さえあれば、日本へWelcome!中国の金持ちには、残念ながら品格欠陥者が多く存在する。もちろん、そこまで選別するには物理的にも困難だろうが、言いたいことは一つ。消費者教育をどのように考えているかである。

 中国人客の誘致、あるいは中国の内販でも、これからは消費者教育の問題は避けて通れない。それに本格的に取り組んでいる日本企業はまだまだ少ないように思える。

 以前、某英字紙は一部の中国人ニューリッチ層のことを、「They have nothing but money(彼らは、お金以外何も持っていない裸一貫だ)」と酷評している。少し言いすぎかもしれないが、基本的にその通りだ。

 そのようなお客様を相手にするか、そしてどう扱うか、いよいよ日本企業が考えなければならない時期がきた。

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