アリババはネコババにならないか、上場に沸く世間にアイスバケツを

 アリババの上場に沸く世間。中長期的なリスクがあまりにも多い企業だと思う。企業統治上のリスク、政治リスク、そして法律リスク。

 まず、アリババはネコババにならないか。関連会社取引と利益転移のリスクはいまだに消えていない。「支付宝」の問題は指摘されて久しい。それだけではない。上層部のひと握りの人たちがその気さえあれば、利益流出のチャンネルはいくらでも作れる。実効性ある抑止措置はあるのだろうか。馬雲は数年以内に「支付宝」の所有株の一部をアリババの内部関係者に譲渡する意思を示唆しているが、それは何ら問題解決にもならない。利益ベクトルの向きは変わらない。

 中国企業家(ほとんど)にとってみれば、IPOはあくまでも「圏銭」、金集めの手段としか考えていないし、上場企業そのものはある種の「マネー吸引バキューム」でしかない。もちろん、中国人企業家の良心に賭けるというのも一つの方法である。アリババの上場で8兆円のバリューを手にした孫正義社長は長期保有の意思を表明しているのだが、どういう戦略お持ちか楽しみだ。

 次に、アリババの背後に潜む中国政府の影である。あれだけ化け物になった企業は単なる民間企業と見てはいけない。特に中国の場合、国家戦略が絡んでいれば要素の複雑化がいうまでもない。この手の投資に関して、投資家よりも老獪な政治家が向いているのかもしれない。

 最後に法律問題。上記の2要素をはじめ、これらに起因してトラブルに発展した場合、どのような法的手段で問題を解決し、投資家の利益を守るのか。いってみれば、アリババは中国の厳しい対外投資法律法規を前にしてバイパス的なルートで米ニューヨーク証券取引所上場を果たしているようだ。では紛争はアメリカの裁判所で解決できるのか、これをよく考えると分かるように、いずれ中国の裁判所の出番になる。もうこれ以上いう必要もないだろう。

 基本的に情報の非対称問題である。孫社長のような存在でさえ、それは即ち100%アリババのすべての経営情報を把握できるのか甚だしい疑問である。

 なぜか最近ブームが去ったようだが、いまこそ、アイスバケツが必要だ。

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