五輪選手まで年齢詐称、メダル剥奪される中国チームは被害者?

【事件1】

 1983年1月20日生まれ――。中国女子体操選手・董芳霄さんが、国際体操連盟(FIG)に登録し、参加年齢16歳以上との条件をぎりぎりクリアし、2000年のシドニー五輪に出場し、メダルを獲得した。

 1986年1月23日生まれ――。今度、2008年に開催された北京五輪でスタッフを担当した董芳霄選手の生年月日の登録だった。

 14歳を17歳に、出場年齢詐称!国際オリンピック委員会(IOC)は、シドニー五輪における中国の銅メダルを剥奪し、4位だったアメリカに授与することを決定した。

36619_2董芳霄選手(www.smg.cn写真)

 そして、中国国家体育総局体操スポーツ管理センターの羅超毅主任は、董芳霄選手の年齢詐称について、「中国国家体操チームは詐称行為に何ら関与もしていない。まったく董選手個人とその家族の所為である」と責任を否定した(中新社4月29日記事)。

【事件2】

 2010年2月に開催されたバンクーバー冬季五輪で、女子ショートトラック金メダルを獲得した中国の周洋選手が、中央テレビから感想を問われて、「金メダルを取って変わることは多い。自分に自信がついたし、お父さんとお母さんの生活を少しでも楽にしてあげられる」と笑顔で答えた。

 しかし、その直後の3月7日に行われた全国政協のスポーツ部会討論会の席上、国家体育総局の于再清副局長は、周洋選手の発言について、「優勝の感想を述べる際は、国家を前面に置き、父母に言及するだけで終わりにすべきではない」と批判した。

 【事件1】と【事件2】は、ともに中国のスポーツ界での出来事だ。「名誉と感謝は国家に、不正や汚名は本人と家族に」という結果になった。

 名誉と感謝はともなく、年齢詐称の責任を明白にしてほしいものだ。中国は、厳格な国民戸籍管理がなされた国である。本人や家族はどのような手口で年齢詐称の行為に及んだのか。董芳霄さんが生まれたとき、将来に五輪への不正参加を意図的に企んで、父母が偽りの生年月日を届出たのだろうか。それに、出生証明書の偽造に医師まで加担したのだろうか。そうでなければ、どうやって生年月日の詐称をしたのか、まったく見えない。シドニー五輪参加には、パスパートが必要だ。パスポートの生年月日はどのように記載されているのか。パスポートの申請に必要とされる戸籍簿や身分証明の生年月日はまたどのように記載されているのか。国家チームの一員として、そこまで簡単に年齢詐称行為が最後まで発覚されずに遂行できるものだろうか。

 従業員の学歴詐称や職歴詐称に遭遇する企業が存在するが、国家チームまで選手の年齢詐称の被害に合うとは、誠に恐ろしいことだ。真実はどうだろうか???

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