北京出張セミナー、電子化時代の功罪を考える

 11月11日(木)。

 午後は北京セミナー(中国語セッション)。セミナー開始直前に、例によって、受付担当に欠席人数を確認すると、一人のみの欠席とのことで、以下の情況を報告された。

 欠席者は、某大手○×商社の顧問弁護士A氏である。当社事務局から連絡すると、A弁護士は、「何ら受講確認も受けていない」とし、キャンセル料のことも知らないと主張した。当社からは確かに受講証メールを送付した(事後、私も確認済み)。そのメールは、A弁護士本人宛で、なお○×商社内の日本人担当者B氏にもCC送付しているため、では、着信の有無をB氏にも確認しようかと、当社事務局担当者が切り出すと、A弁護士は、「誠に不愉快だ。どうしてもいうのなら、キャンセル料は私が個人的に支払う」と不快感をあらわにした。

 ペーパーレス化時代の今日では、電子メールの利便性が高く、環境にやさしいという優越性を有している一方、証拠保全における弱みも露呈している。法律のプロであるA弁護士は誰よりもよく分かっているだろう。人事労務管理現場でも、紙ベースのエビデンスの重要性を一貫して強調する当社として、もしや自社商取引の現場をも見直さなければならないのかもしれない。

 一方、A弁護士にしてみれば、自筆署名、社印押印と原紙回送を求められた方が気持ちがよかったのかもしれない。となると、法人名義の受講申し込みである以上、A弁護士は○×商社の代表者から当該決裁権限を与えられているかどうかも証明を求めなければならない・・・。なぜかどんどん手続きが複雑になる。社会は近代化になればなるほど、取引費用が膨張するのみだ。

 ちょっぴり悲しいですね。

 A弁護士は確かにそのメールを受けたか?
 そのメールは完全なものだったか、内容に欠落はなかったか?
 そのメールは、CC送付先のB氏が受けたからといって、A弁護士も受けたという因果関係は成り立つのか?
 そして、A弁護士はメールを受けたとすれば、それを読んだか、削除しなかったか?・・・

 言い出したらきりがない。どれも証明できないことばっかりだ。