合弁企業の人事、アンタッチャブルな部分はノンタッチ

 土曜の夕方、N社と宿泊先の金域万豪(北京マリオット・ウェスト)で打ち合わせ。新規立ち上げ現地法人の人事制度構築案件の打診を受けてのQ&A。N社は今時珍しい日中合弁企業だということで、すこし引っかかる。

 中方は人事制度コンサルに理解を示してくれるかどうかだ。

 中国企業は概してコンプライアンスや制度作りに熱心でないケースが多い。問題あったら対応すればよく、トラブルにまで発展した場合でも、人脈を動員して解決するのが、彼たちの一般的なスタイルだ。

 「中方の説得をまずお願いできませんか」。以前ある大手合弁企業の日方に頼まれたことがあるが、きっぱりと断った。顧客企業内部のコンセンサス形成に、コンサルタントとして立ち入る立場ではない。状況説明までは応じるが、「説得」はしない。

 人事そのものに対する認識も、日中間のギャップが大きい。中国企業の人事は、基本的に制度に親和感がなく、一族か親分子分関係が目立つ。

 理念の相違があれば、それが致命傷でコンサルの成功率もぐっと低くなる。その点では、独資企業で本社との意思疎通がしっかりでき、あるいは現地法人の決裁権のもとでトップがしっかり意思決定すれば、大変やりやすくなる。

 ということもあって、合弁企業の人事は日方(あるいは中方)がダントツの決定権、主導権をもたない限り、アンタッチャブルな部分は下手にタッチすると、逆にトラブルで顧客に迷惑をかけることがあるので、最初からタッチしないことにしている。

 冒頭で「いまどき珍しい日中合弁企業」といったが、ちょっと訂正を加えると、中国資本による買収はむしろ今後増えるのではないかと思う。コンサルのほうでもかなりしんどい。

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