ゴン太と一緒に過ごす最後の一昼夜、再会を約束する

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 2024年3月12日、ゴン太と一緒に過ごす最後の1日。一夜明けて、言葉にできない悲しみがこみ上げる。ゴン太が亡くなっていない、ゴン太はまだ生きている。冷たい事実を受け入れられない自分がいかに情けないか。でも、自分の気持ちに素直に従うしかない。

 ゴン太を見守るなか、ハチがお兄ちゃんに別れを告げにやってきた。13年間、兄弟は助け合い、一刻も離れたことがない。一緒に飛行機に乗って、上海から日本へ、そして日本からマレーシアへやってきた。いや、別れではない。いつの日か、みんな全員再会する。その日は必ずやってくる。約束する。

2013年6月21日、上海自宅で撮影。後ろは弟のハチ

 「ゴン太と一緒に歩いた道をたどる、我が子を偲ぶ上海の旅」

 来週の上海出張。1日の仕事をキャンセルして、歩く旅にする。ゴン太は、上海生まれでマレーシアにやってくる前に、上海で5年間私たちと一緒に暮らしていた。思い出の詰まった旧居を回り、ゴン太と一緒に歩いた散歩道を一歩一歩踏み締めながら、過ぎ去りし日々に浸かりたい。

 家族会議の結果。ゴン太の遺骨は、分骨する。まずはゴン太の大好きな場所に眠ってほしいので、私有地である我が家の庭に埋葬する。あとは、私たち人間の死後に一緒のお墓に眠ってもらうことにする。

 スレンバンの夜空を煌めく星の下で、クラシック音楽をバックに、ゴン太と語り合う。プールに灯るライトが変色しながら、虹の橋を作ってくれた。15年と158日の歳月は走馬灯のように蘇る。幸せだった。ありがとう、ゴン太。そして再会の日が必ずやってくる。約束する。

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