イポーという街(2)~1億円の豪邸も夢じゃない

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 「寂れた街」といっても、イポーの暮らしは決して俗世を離れ、仏門に入る出家のようなものではない。的確にいうと、遊べないのではなく、むしろ安く遊ぶのがイポーの醍醐味である。もちろん、遊びの種類やキャパは限られるのだか。

88467_1メルバレー・ゴルフ・リゾート敷地内の住宅

 まず、ゴルフ。イポー市中心部から車で15分ほど離れたところにメルバレー(Meru Valley)という立派なゴルフ場がある。ゴルフがとにかく安いのがマレーシアである。会員権も、メルバレーの場合セカンドハンドなら数千リンギット(10数万円)で入手できる。駐在員の帰国などで会員権が安く取引され、プラスわずかな名義変更料でゴルフ三昧の生活を満喫できる。

88467_288467b_2メルバレーのコンド(上)と新築一戸建て(下・こちらは土地・庭付で4500万円)

 メルバレー・ゴルフ・リゾートの広大な敷地内に高級コンドミニアムや戸建住宅が点在している。高級といっても、決して高くない。コンドのペントハウス、さらに独占の屋上テラス付き、総計500~600平米の豪華リゾートマンションでも月賃貸料が20万円を切っている(同等物件なら日本では100万円はするだろう)。一般用で100~200平米の3LDKタイプなら月3~6万円で借りられる(日本国内相場なら15~30万円、といっても日本では100平米以上のマンションが希少だ)。新築一戸建ての場合、月10~15万円、築年数のある中古となると5~6万円で十分だ。

 住宅購入も安い。2階建ての新築タウンハウスは土地付きで1000万円程度。3000万円台なら庭付きの一戸建て、5000万円台となると、プール付きの豪邸も入手可能。1億を出したら、森の中に宮殿を造ることになる。

88467_388467b_3イポーの新築テラスハウス(こちらは土地付で1200万円)

 ちなみにマレーシアは東南アジアの中で唯一、外国人が合法的に土地を購入・保有できる国である。所有権は、「Freehold」(永久所有)と「Leasehold」(99年リース)の2種類あるが、「Leasehold」でも簡単に更新可能。固定資産税も相続税も贈与税もないことから、日本に比べると不動産天国だ。

 不動産相場はざっと見積もれば、日本の5分の1から10分の1。つまり、2000万円で1億の住宅を手に入れられるわけだ。

88467_488467b_4ジェット機を受け入れる準備、拡張工事中のイポー空港

 交通についてだが、イポーは車でKL2時間半、ペナン1時間半と飛行機で飛ぶに短すぎる距離にあるため、現在定期航空便がない。小さなイポー空港は現在唯一の航空路として、シンガポールと1時間半ほどの定期便(1日2便、プロペラ機)で結ばれている。シンガポールに仕事をもつ人には便利で、また格安航空券(往復5000円~)を使えば、シンガポールへの小旅行も気軽にできる。

 さらに、この小さなイポー空港では現在、ジェット機を迎え入れる準備が着々と進み、滑走路の延長工事とターミナルの拡張工事が行われている。現地情報筋によれば、LCC(格安航空会社)のエア・アジアがイポー・広州やイポー・香港便の開設を予定しているそうだ。それが実現すれば、私の今後の中馬間の往復が格段と便利になる。

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