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ロングステイも含めてマレーシア移住といえば、KLとペナンがまず選択肢に浮上するが、私が選んだイポーという街はどうしても、マイノリティーの部類に入る。
「寂れた街」
初めてこの街を訪れた日本人の9割以上がこう感想を述べるだろう。私がイポーを選んだことをマレーシア関係の日本人に告げると、「えっ、イポー?何もやることがないんですよ。立花さんがまだ若いのに・・・」と驚かれる。
何かやることがないと、不安で仕方がない。日本人は常に「やること」を求めている。リゾート地に行っても、ビーチサイドで半日以上のんびりと過ごす日本人はほとんど見ない。みんな常に「やること」を求めて、何かしらのアクティビティについている。
だから、イポーという街のイメージは、高齢者がのんびりとする場所である。高齢者がのんびりするのは、もはやのんびりせざるを得ないという身体上の理由が大きいだろう。若いうちはアクティブに動くべきだ。これはもっともな常識ではあるが、決して唯一の正論ではないはずだ。
自分の価値観やライフスタイルは別としても、「やること」がないということは、ある意味でお金がかからないことを意味する。大都会であればあるほど、物欲をそそる要素が多く、ついつい衝動買いしたり、ストレス解消的な購買行動に走って散財してしまう。
イポーという街は、娯楽施設がほとんどない。高級レストランといっても、探すのが至難の業。ホテルもトップクラスが4つ星で、いかにも地方のビジネスホテルといった、これもまた見事に寂れた雰囲気。唯一の楽しみは恐らくマッサージだろう。ただ、ストレスがたまらなければ、マッサージの有難さも目減りする。
お金が減らない。家計の節約がビッグテーマになっていてその類の本が溢れている日本だが、イポーに来れば、倹約生活の薀蓄本を買う金まで節約できてしまうのである。