狡兔三窟、マレーシア移住で考えるチャイナ・プラス・ワン

 9月29日(土)、セミナー出張先の広州からマレーシア航空でKL(クアラルンプール)入り。今年3度目のマレーシア、今回は一般参加者も募集した非公式視察ツアーである。

88392_2女優Tさんも移住希望者(JWマリオットKLにて)

 30日(日)、日本人女優のTさんが宿泊先のJWマリオットKLに訪ねてきた。プールサイドカフェで一緒にランチを取りながら、マレーシア移住・投資の話で盛り上がる。Tさんはマレーシア移住を真剣に考える一人で、今回視察ツアーの一部日程に合流する形を取った。 ちなみに私は移住コンサルをやっているわけではない。実際に自分も移住者の一人であって、移住関連の仲介業者よりも、移住者目線で問題を取り上げ、集めた情報と問題解決法を関係者に提供しているのである。問題解決に関して、会社経営だろうと個人生活だろうと基本的な手法は共通しているからだ。 最近、なぜマレーシアかとよく聞かれるのだが、それは私は日本という国も中国という国も信用していないからだ。いや、そもそもどこの国も信用してはダメだと思う。チャイナ・プラス・ワンといわれて久しい。日本を脱出しても中国だけでは危ない、もう一箇所どこかベースを作ろうということだが、いよいよ日中間のムードが悪くなってきたいま(そのうちまた回復するとは思うが)、その重要性が再確認されている。

88392_3KL市内のレストランで開催される移住視察食事会

 「狡兔三窟(こうとさんくつ)」、中国の熟語である。ずる賢いウサギは巣を3つもっている。サバイバルの本能である。企業経営では、「コンティンジェンシープラン」という。中国だけに頼っていたら、いざというときに、神様仏様、日中関係の回復を祈るのみである。日中友好は良いことだが、企業経営では日中友好だけに頼ってはいけない。たとえ日中不友好でも経営はちゃんとやっていけ、利益も出し続けられる。このような強い経営を実現したい。 日中の対立が長期化すればするほど、日本企業の脱中国化が進むだろう。すでに、フィリピンやベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国が日本企業の投資誘致に乗り出している。尖閣事件で日本企業も学習機能を一段と強化するだろうし、ASEANは今後の見所だ。 私自身も、マレーシア移住を今年の年頭に決めたとき、尖閣事件を予想していたわけではない。ただ、一種の異様な雰囲気を感じた。それがいやなほど的中してしまった(的中してほしくなかったが)。2年後のマレーシア移住は、マレーシア半分中国半分の暮らしを予定している。日本企業へのサポートも多元的に広域的に展開したいと考えているが、中身は変わらない――問題解決、サバイバル、最適化の実現。

<次回>