「デブモヤシ」の街イポーに移住決定、時が止まる魅力

 3~4年後の近い将来にイポー(Ipoh)に生活の本拠地を置く。――7月5日からの週末をかけてのイポー生活環境視察で達した結論だ。

83488_1ホテル3階の部屋から望む朝のイポーの街並み

 何もかも上海と正反対になっているのがイポー。高層ビルがない。高速道路もイポーの街を縦断する、クアラルンプールとペナンを結ぶ一本だけ。経済発展という言葉には無縁で、その分物価や不動産相場がとにかく安いし、空気も水も抜群に奇麗。イポー人の特徴は一言で表現するとおっとりしていて「スロー」・・・

83488_2イポーの「デブモヤシ」
83488b_2地元デベロッパーの社長の宴会

 山に囲まれるイポーのきれいな水で育ったモヤシが旨い。日本語の「モヤシっ子」とは、ひょろひょろ伸びて色白で痩せている人を表現しているのだが、イポーのモヤシはお腹がふっくらとしていて、日本の常識を覆し、見事な「デブモヤシ」になっている。

 そして、料理が安くてうまい。屋台が観光化されておらず、住民の台所になっている。新鮮で安全な食材でいえば、中国をはるかにリードしている。

83488_3イポーの屋台村
83488b_3ラクサ(ココナッツ風味のカレー麺)

 悪いとこは?といえば、交通が不便だ。イポーには、プロペラ機が離着陸するだけの小型飛行場しかない。首都のクアラルンプールとは航空便で結ばれていない。空路は、シンガポールからファイアエアというマレーシア航空の子会社だけが乗り入れている。イポーからはクアラルンプールとペナンまで車でそれぞれ2時間半と1時間半の陸路である。

 不便だ。いや、不便だからこそ、イポーの良さが保たれているのだ。不動産相場だって、土地付きの一戸建て新築は1500万円~2000万円台で手に入る。同条件の物件だとクアラルンプールやペナンでは3~4倍、日本の首都圏はその10倍以上になる。言い換えれば、日本人が1000万円の金をイポーに持ってきたら、1億円のマイホームを手に入れるわけだ。

83488_4イポー名物の鶏飯
83488b_4激旨!スパイシーな地場蟹料理

 もちろん、イポーで仕事を見つけようとは思わない方が良いだろう。私自身も、上海とイポーの生活を半々とするのが理想だと考えている。ネット上の情報収集や執筆、読書には、イポーほど良い環境がほかにない。

 大都会で仕事をしながら、ここマレーシアに来てもまたクアラルンプールなどの大都会に住む理由はどこにあるのか?その答えが見つからないまま、イポー移住が唯一の選択肢として確定した。