立花流の投資、たまにお金の話をしよう

 最近、うれしいことがある。我が家の資産がどんどん増えている。

 特に収入が急増したわけでもない。しかも新事業で資金需要が大きく、資産が増えるほどの増加は見込めない。資産が増えたのは、日本円建てのポートフォリオ残高が直近の急激な円安でどんどん鰻登りの勢いを見せていることだ。

 日本で生活する人間ではないので、円建て資産が増えても実効性が薄い。ただ日本人である以上、円建てで物事を考える習慣がなかなか抜けない。いつも円高や円安で一喜一憂している。

 実効性のない資産増でも、嬉しいことは変わらない。もうひとつ、買って大損していた中国株ファンドがようやく上向いてきたことも、プラス材料だ。いくつか株や債券のファンドを買って、債券ファンドだけ少し利益出て、売却した以外、運用実績が素晴らしいとまでいかない。インドネシア株は利益を出しても、ロシアとブラジルが元本割れになっている。

 10年単位の長期投資で考えているので、利益が出たものから売却していく。一部短中期のマイナス運用には、無視するようにしている。

 私は投資音痴である。ロイター金融情報を取り扱っていた人間として、金融そのものに対し深い勉強や研究はしていない。90年代後半、アジア金融危機のとき、香港駐在中に、韓国株ファンドを買って、その直後に韓国経済が回復して、倍くらいに化けた投資経験があったが、それは、韓国という国にもっと力があるはずだ、過小評価されているのではないかという自分の感覚に基づいた投資行為で、論理的な市場分析はまったくしていない。特にいわゆるテクニカル・アナリシス、チャートや罫線だらけの相場分析にはまったくの無知である。

 投資は、お金を増やすこととして、正直私はあまり熱心に取り組んだことがない。いや、正確にいうと、自分や自分の会社に投資しても、他人様にはあまりに熱心に投資しない主義である。なぜなら、自分や自社に対して一番知っていて投資しやすいからだ。

 「立花さんの会社に投資させてもらえませんか」、先日、ある方に言われたが、即座丁寧に断った。まず、当社は無借金運営で、規模拡大もしたくないので、外部調達を必要とするほどの資金需要がない。あとは、私はかなりわがままなワンマン経営者で、たとえばミャンマー新事業の場合、意思決定から実施まで2~3か月というスピードでやってしまっている。パートナーや他の株主と相談している時間がない。特にリスクの取り方について、仮に一任するといわれても、事業が失敗した場合、やはり皆さんはハッピーな気持ちにはなれないだろう。自分の私財だけなら、女房さえ納得すれば、なんの問題もないわけだ。

 というような、立花流の投資である。