運転免許更新マレーシアVS日本、ここがおかしいよニッポン!

 本日はマレーシアの運転免許証更新。日本での更新のつもりで朝早く準備して出かける。長時間の待ちに備えて水筒にコーヒーを入れ、暇つぶし用の書籍も持参してクアラルンプールのJPJ(免許更新センター)に参上。

141016-1150-JPJ-免許証更新5年間有効の新運転免許証

 早朝の通勤渋滞に巻き込まれ、40分のドライブでWangsa Majuのセンターに到着。正面玄関前にたまたま駐車スペースが一個だけ空いたので、ラッキー。もちろん、駐車は無料。

 なんと、なんと、更新手続きはわずか10分で終わったのだ。驚いて開いた口がふさがらない。先日日本の免許センターで優良ドライバー(最短時間受講)として更新したのだが、それでも2時間はかかった。(2014年10月1日「世にも奇妙な免許証更新、日本の自動車免許産業の巨大利益はどこへ?」

141016-0956-JPJ-免許証更新_01クアラルンプールJPJ(運転免許センター)

 マレーシアと日本の運転免許証更新の手続きの比較は以下の通りである。

<マレーシア・運転免許センターの場合>
 ① 受付・整理券番号発行 → ② 窓口審査(住所確認)・更新手数料支払 → ③ 新免許証交付

<日本・運転免許センターの場合>
 ① 免許証更新の通知送付(はがき)→ ② 窓口で受付・旧免許証複写 → ③ 更新・講習受講手数料印紙購入・貼付 → ④ 更新申請書記入・更新状況申告書記入署名 → ⑤ 視力検査 → ⑥ 個人データアクセス用パスワード入力 → ⑦ 写真撮影 → ⑧ 安全教育受講 → ⑨ 新免許証交付

 日本のほう、いかに無駄の多い行政手続きであるかは一目瞭然だ。そもそも、更新通知はがきなどは必要ない。自分の免許証期限くらいは自己責任で管理すべきだ。通知はがきだけでも巨大な資源浪費。はがきの紙(3枚折り込み開封式の上等なもの)、データ出力・印刷、発送と配達・・・。安く見積もって1人当たり100円はかかるだろう。全国の運転免許保有者数約8000万人、平均4年更新で試算すると、年間20億円の通知はがきコストがかかる。さらに免許更新関連の施設運営費、管理費、材料費、人件費を入れると少なくとも年間数百億円、いや千億円単位かもしれない、確実にかかっているだろう。

 この手続きを半分ほど簡素化、合理化すれば、年間で最低数百億円単位のコスト削減効果があるはずだ。なぜ早く取り組まないのか、免許証更新という一大産業の利権の受益者を見れば、納得するだろう。そして、何も文句を言わない国民、いやそもそも問題意識すらもっていない国民が大多数ではないか。

 戦後日本の一番最大な災害は、国民の脳から批判的思考回路を取り外した教育なのである。だが、状況はいずれ変わるだろう。海外に出て見識を広げた多くの日本人は、日本国内のいろんな怪奇な事象にすでに気付き始めた。これが大きなパワーになることを心から期待している。

コメント: 運転免許更新マレーシアVS日本、ここがおかしいよニッポン!

  1. 問題の一つとして、効率の判断の難しさがあると思います。

    まず、立花先生が挙げられた通知の必要性についていうと、通知をしないことによって、免許期間切れ運転がどの程度増加するか、その摘発や再更新がどの程度行政に負担をかけるか。これらの測定は意外に難しいと思います。でも、確かに、自己管理ができるなら、それが一番ですから、アンケートぐらいはとってみるべきだとは思います。

    もう一つは手続き全体の効率ですが、マレーシアとの比較条件は公平でしょうか。

    例えば、
    (1)日本のほうはデーターベース化が進んでいるがゆえに時間がかかるということはないでしょうか。日本の場合は、全国どこへ引っ越しても手続きが容易にできるがマレーシアではそうではないとか?
    (2)データの正確性が日本のほうが優れているとか?
    (3)日本のほうが、データの改ざん、不正に対する防犯効力が高く、マレーシアよりも偽免許証が作りにくいとか?
    (4)安全講習があることにより、事故率が低いとか?
    その辺りに関する評価がないと日本の免許発行手続きの効率が悪いとは言えないと思います。

    速い遅いで言えば、初めて中国の銀行でキャッシュカードを作ってもらったとき、その場ですぐに発行されて驚きました。今はどうかわかりませんが、当時は日本では数日後にやっと発行だったと
    記憶しています。審査の安全性・確実性の問題もありますが、スピード化、簡素化はユーザにとっては確かにありがたいですね。

    1.  米田さん、データの正確性とか、事故率の低減とか、全面論証は可能でしょうし、コストを透明化させ、費用対効果の議論が大変有意義なものになるでしょう。ぜひ、日本国内で検証や議論のアジェンダに上がってほしいものです。
       まずひとつ、免許更新の自己責任というのは、不注意によって失効した場合、再更新で行政に負担をかけるべきではないことはそのとおりです。そこで再更新の手数料割増負担を市民に請求すればいい。さらにいうと、期限遅れの対処は、マレーシアの場合、3か月猶予が付いています。それを過ぎると、運転免許の再取得を義務付けられています。それでもいいと思います(私の記憶はそうです)。
       通知はがきが必要かどうか、単純アンケートを取ることには意味がない。ちなみに、これは、日本の行政の常套手段、利便性という美麗字句を駆使して実質上の自己利権を拡大させる。あったほうがいいという大半の市民が回答するでしょう。利便性を貪るのが人間の本能です。ただ、利便性にはコストがかかる。対価コストの議論に国民を巻き込んだらといいと思いますが、残念ながらやっていません。コストの話をすれば当然行政の利権が侵食される可能性が出てくるでしょう。
       だから常に、利便性や正確性、安全性といった面に市民の目を向けさせようとする。私のブログ記事の論点は、いつの間にかすり替えられる。コストです、コストを語ります。外部の人間として常識に基づいて、私はただざっと見積もったコストで間違っていますか?年間20億円の郵便通知はがきの費用対効果はいかがなものか、これは国会の予算委員会や答弁で議論してもらっても結構なことではないでしょうか。日本国民が「結構ですよ、20億円をぜひ払って、更新期限のリマインド通知してもらったほうが便利でいいですよ」という総意であれば、それはそれで制度の継続実施でいいじゃないでしょうか。
       これは、アンケートの取り方で

  2. 全般的に言って、マレーシアの行政が日本の行政より効率のいいものだとは、少し想像し難いです。恐らく、免許更新の一点を取り上げて言われているのだと思います。

    ちなみに中国人は、日本の行政の効率の良さを絶賛しているようです。

    http://www.recordchina.co.jp/a85159.html

    マレーシア行政の効率の悪さについて、こんなところで書かれています。
    http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=915950&id=7433695

    こんな記事も・・・(題名しか読めませんでしたが)。

    http://nna.jp/free/news/20081124myr007A_lead.htm

    あくまでネット情報だけなので、私にはマレーシアの実態はわかりませんが、全般的に言って、マレーシアの行政が日本の行政よりも効率が高いと言えますか?是非、立花先生のご意見を聞きたいところです。

    もちろん、お互いの良いところから学んで切磋琢磨するという考え方には賛成です。

    1.  マレーシアの行政の効率が日本より良いという結論付けするつもりは毛頭ない(マレーシアにも問題がたくさんあります)。マレーシアの比較を抜きにしても結構です。日本の行政効率だけについて論じてもいい。私が提示した無駄は存在していませんか。免許更新以外にも無駄を探せばいろいろ出てきますね。生産性向上が実現できれば、日本国民が収めた税金の節約になり、大いに良いことではありませんか。謙虚になろうではないか、日本の行政。米田さんは行政天下りの方なら、公務員の方だったら、大顰蹙を買いますが(大笑)。いかがですか。最後に付け加えますと、マレーシアはもしかすると、日本のように、行政の無駄を創り出す知恵が十分ではないかもしれません。その分、ぜひ、日本の悪いサンプルに学ばないでほしいものです。

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