やってしまった、弁護士意見で解雇アクション完敗

 某企業から緊急コール――。弁護士の助言で解雇アクションが完敗。

 その企業が依頼した某有名な弁護士事務所の法律意見書を拝見すると、まったく話にならない。事件の本質が把握できていないのが致命傷。解雇要件、根拠となる就業規則の初歩的確認すらなされていない。エビデンス検証も粗末極まりない。当然、いわゆる法律意見は事態を悪化させ、企業を極めて不利な立場に陥れるようなネガティブ・オピニオンになった。

 弁護士は必ずしも会社経営に精通する実務家であるとは限らない。経営者目線の若干の欠落はある意味で許容範囲内で考えても、法的レベルにおける基本的検証の欠如は法律家として許されないものである。

 中国の場合、労働法精通の弁護士は極めて少ない。会社法や知財、契約法メインの企業顧問弁護士で労働問題となると、その不慣れぶりが一気に露呈する。プラクティス・グループ制になっていなかったり、あるいは名ばかりのものだったりする場合、総合法律事務所であっても資源の共有できずにパフォーマンスの低下が顕著なものとなる。

 一方、労働問題の案件では全般的に、当社のコンサル費用が弁護士事務所より高額になっており、案件によっては数倍もする。そこで顧客企業の予算の関係で比較的にフィーの安い弁護士事務所をまず使って、原案があがった時点で当社のほうでセカンド・オピニオンを受けるというケースもある。ただ、今回はどうやら緊急案件で弁護士意見でそのままアクションに移ってしまったようだ。

 いったんアクションを起こされてしまうと、そこでアプローチを修正するのが至難の技。今日の場合、何とか挽回の提案を出させてもらった・・・。

 

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