友人になれない「客人」、ベトナム人の冷徹な対中姿勢

 12月2日(火)朝、日本語ガイドのグェンさんと合流して、目指すはハノイ郊外のバッチャン村。目的はもちろんバッチャン焼き工場の見学とバッチャン焼の購入。

141202-0922-Hanoi郊外-バッチャン村バッチャン村の陶器製作工場

 観光案内がひと段落すると、グェンさんは自分の少年時代を語り出す。「小さいとき、戦争でハノイにいられなくなって、家族全員がハイフォンに逃げました」。どうみても、グェンさんは30代後半か、せいぜい40代前半ではないか。「戦争とは?」「中越戦争ですよ、中国がベトナムを侵略したときのことです」とグェンさんの表情が曇る。

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 「中国の侵略」。――聞きなれない言葉だが、やはりそう思われているのか、立場が変われば・・・。

 「中国人は嫌いです。私たちベトナム人は正直いって中国人が嫌いです。仲も悪いです」。グェンさんは言葉を選ばなかった。「戦争がなくなって平和の時代になっても、中国人はせいぜい『客人』としか思えませんし、ベトナム人と本当の友達にはなれません」

141202-0931-Hanoi郊外-バッチャン村バッチャン焼の作品

 友人になれない「客人」。近くて遠い関係、これ以上適切な表現はないだろう。「それでいいじゃないですか、会ったら挨拶するだけの『客人』でいいじゃないですか」。無理して友人になろうとしないのが、大人になった証拠だ。そうした意味で日本人よりもベトナム人がより冷徹かつ明確な対中姿勢を取っているのではないだろうか・・・。

141202-1021-Hanoi郊外-バッチャン村_01バッチャン村にて