師走雑感雑想、淡々とした正月の迎え方

 師走。ここ私が住むマレーシアではまったく師走らしきムードを感じられない。といっても、それは日本的な感覚であって現地においては一種の相対的「非常識」になる。

 「師走」とは語源学的に、師匠の僧侶が仏事でお経をあげるために、東西を忙しく走り回る月と解釈する。イスラム教では僧侶という概念がなく、もちろん仏事で走り回る風景なども存在しないわけだ。しかも、マレーシアは多宗教国家で西暦、旧暦、ヒンドゥー暦(ディパバリ)、イスラム暦と年に4回も新年を迎えるだけに、毎回毎回祭り騒ぎで忙しく走り回っていたらさすがに草臥れてしまうだろう。そのためか、正月というのは意外と淡々としているのがマレーシアである。

 私自身は祭り騒ぎがあまり好きではないほうなので、マレーシアの淡々とした正月の迎え方が合っている。騒ぎを避けて昔はいつも年末や旧正月になれば、どこかの島や辺境に出かけて避難していたが、いまはその必要がなくなり、今年も年末年始や旧正月はいずれもクアラルンプールの自宅で静かに過ごすつもりだ。

 12月中旬には、今年最後の中国出張。クリスマスあたりから、日本や海外からの来客を自宅に迎えて、お・も・て・な・しに徹する。