在中日系企業の人事労務現場、不利要素のオンパレード

 4月23日(木)。午前中は日系某社で3階建™人事制度導入の打ち合わせ。今回上海出張中、新規大型制度導入関連は2件目。

 私が考案した3階建™人事制度は昨今厳しい雇用・労務管理現場での唯一の解決策として、日系企業の間では認知度が劇的に向上している。解雇権を事実上喪失した企業は賃金・等級調整や配置転換まですべて従業員の同意をなくして人事権を行使し得ないという異常な状態、それに「二人っ子政策」やこれからの定年延長・・・。在中日系企業が直面するのは単純な人事問題ではなく、むしろ重大な財務問題である。

 定年が65歳まで延長された場合(男性5歳延長、女性は10~15歳延長)、企業内の高齢化が致命傷になる。日本のように高齢者の役職はずしや減給が実施不能のため、ポスト不足、高齢管理職のパフォーマンスと生産性低下が問題となり、若年層の昇進昇格ができなくなれば、企業は新陳代謝機能を喪失する。

 現に離職率の異常低下がすでに多くの日系企業で表面化しつつある。人材の定着ならよいのだが、適正な流動性喪失と生産性低下を伴う低離職率は致命的である。

 この問題は数年前から、私が警告を発してきた。ただ一部の日系企業では問題が放置、先送りにされてきた。なかに前任総経理のそうした不作為を明言批判する動きも一部出てきている。任期中のいわゆる安定だけを求め、構造改革を怠り、問題を時限爆弾化させたツケは間違いなく回ってくる。

 さらに企業内の無固定期間労働契約保有者の比率が年々上昇していることは、制度改革に反対する既得利益層の増加を意味する。つまりいざ改革しようと決心しても社内で猛反対に遭遇し、場合によって改革がとん挫するリスクも劇的に増大している。

 どれをとっても不利要素しかない・・・。

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コメント: 在中日系企業の人事労務現場、不利要素のオンパレード

  1. 人が足りないとよく耳にしますが、長い目から見ると、仰った通り重大な財務問題に成りかねないです。いつも新しい観点を示唆してくれて、感謝です。
    これからも読者になりつつけます。よろしくお願い致します。

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