魅力ある衰退のメトロポリス、上海の夢と希望

 4泊の上海出張。合計15時間以上のセミナー・研修。あとは案件打ち合わせと相談で日程が詰まっている。

 上海は元気を失いつつあるように、私はここのところ強く感じている。仕事があるだけに希望的観測ではまったくその反対側にあるのだが、残念ながら、自分の正直な感覚は隠しきれない。

 90年代半ばの上海がもっとも好きだった。テイクオフ前夜のあの躍動感に惹かれ、希望に満ちた日々だった。上海勤務といったら、え~それはそれは大変だねという同情な視線をしばしば感じる時であった。

 時代が変わり、「上海」というのはいつのまにか一種のビジネス・ファッションの代名詞になった。ヒト、モノ、カネが集結するところに醸成される群衆心理、それはロンドンやニューヨークといった世界の大都会と比べていささか異質感を抱かずにいられない。魂が注入されない空虚な胴体がひたすら肥大化するメトロポリス、その出口は見えない。いや、見ようとしない人が大勢いるからだ。

 この街、そしてこの国は長い停滞期に突入する。ただそれは企業にとって必ずしもすべて悪い話ではない。散在するニッチを見出し、ビジネスを盛り上げていく企業は必ず出てくる。サバイバル型企業が健闘する世界は、別の意味でまた魅力である。