南部アフリカ紀行(20)~空港ラウンジの奇妙な食事と論理的な誤認

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 「中国人の方ですよね」。――ビクトリアフォールズ国際空港の出発保安検査場では、たまたま前に並んでいた白人夫婦と目線が合ったので、「ハロー」と私が会釈すると、紳士のほうが親しげに声をかけてきた。

 「いいえ、日本人ですが」と答えると、向こうはすぐに頭を下げて謝ってきた。「すみません。ラウンジ利用券をお持ちなので、中国人ではないかと、ついに口走ってしまいました。本当に失礼しました」。私のシャツのポケットから派手なラウンジ利用券が3分の1ほど顔をのぞかせていた。なるほど、ビジネスクラスを利用するアジア人はほとんど中国人だったのだ。

 まだまだある。エチオピア首都アディスアベバのボレ国際空港のラウンジでは、奇妙な食事が用意されている。それは豊富なラーメン・メニューとお粥である。なぜならば、中国人乗客がラウンジの主要利用者だからである。

 今回のアフリカ旅行は往復ともアディスアベバ乗継ぎで、空港ラウンジでの滞在時間が長い。その時間を利用して周囲を観察していると、中国人ビジネスマンの客が多いことに気付く。彼らの胃袋を癒すためにも、ラーメンやお粥が必要なのだ。英語のできない中国人客は中国語で「メンティオ、メンティオ」(麺条=ヌードル)と懸命にラウンジスタッフへ要求する一幕もあったりする。妻が通訳してあげると、「シェシェ」(謝々=ありがとうございます)と礼を言われた。

 ラウンジの滞在中に、中国人ビジネスマンたちは時間を無駄にせず、ひっきりなしに業務打ち合わせをこなしている。隣席のグループの会話が断続的に耳に入るが、やはり案件進捗の確認や問題洗い出し、解決案の検討といった内容だった。一人旅の中国人ビジネスマンは、ラーメンをすすりながら、パソコン画面とにらめっこしてメールの処理に追われていた。

 そういう風景は一昔の日本人ビジネスマンにも見られたものだった。しかし、ここアフリカの空港ラウンジでは、ついに私は日本人ビジネスマンを目撃することはなかった。なるほどザ不思議が解けた。白人夫婦の判断にはしっかりした根拠があったのだった――。空港ラウンジを利用するアジア人は中国人である。

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