オーラの世界、焼鳥店「炭家」の芸術と宗教

 自分のサイトでは特定の店を繰り返し取り上げないことを決め込んでいたが、この店は例外――。クアラルンプールのスバンジャヤにある焼鳥店「炭家」(Sumika)。

 先週の日曜、まった行ってしまった。何といっても無愛想なマスターと絶品の味、このコントラストには病みつき。もう、ほとんど宗教信者の状態。それは少し言い過ぎかもしれないが、私にとって、焼鳥に関しては彼の右に出るものはいない。

 人によっては味の好みもあるだろうから、必ずしも見解が一致するとは限らないが、ただ私は精神面も含めて言っているわけだから、異論を差し挟む余地はないだろう。

 マスターが全身全霊を傾けて焼き台に立つ姿には、男同士としても魅了されてしまうのである。彼の焼鳥はもう技術を超え、芸術の世界だ。その世界に入ると、もう背後にオーラが出ている状態だ。

 私は基本的に飲食店の場合2号店を出すと、もう行かなくなる。フランチャイズチェーンは論外。なぜならば、オーナーやマスターのオーラの複製は不可能だからだ。

 料理というのは、芸術品と技術品の2分類ができる。技術品に関しては農産品度が低くなれば、反比例に工業製品度が高くなる。セントラルキッチンあたりになれば、標準化によって工業製品度がどんどん高まる一方だ。

 私は個人的にやはり農産品が好きで、芸術品がもっと好きだ。

 最後に、複数店舗やFCの飲食経営者、加工食品業者の皆さんにお詫び申し上げます。批判するつもりはない。本文は単なる私自身の嗜好や価値観の発露にすぎない。